パキスタン東北部地震、犠牲者数、刻々と増加

【2005年10月9日】

地震で壊れたイスラマバードのアパート、VOAによる

8日にパキスタンで起きた地震の死者は、時間を追うごとに新たに判明した死者が伝えられている。パキスタン・インド・アフガニスタンで死者がでている。9日協定標準時7時(現地時間で12時、日本時間16時)のロイター通信の報道ではパキスタンだけで死者1万8千人という報道がなされた。ロイターはまたインドで300人以上が死亡したと伝えている。

米国地質研究所によると、余震が続いており、8日午前9時26分(現地時間、UTC+5、日本時間午後1時26分)から10時間の間に、マグニチュード5以上の地震を18回数えた。なかでも、午後3時46分(日本時間午後7時46分)には、マグニチュード6.3の地震が観測された。

なお、米国地質研究所は、この地震の規模を、マグニチュード7.6から7.7に修正した。

被害

9日現地昼(UTC+5、日本時間午後)の欧米のマスコミ各社は、パキスタンでの死者が約18000人とする報道を行った。ロイター通信によれば、9日、現地には災害救助犬が入り、倒壊したアパートや学校などで捜索を行い、多数の死者を発見している。また負傷者は約4万人と伝えている。

8日のニュー・ケララ紙は、震源地はカシミールのパキスタン統治地区にあるムザファラバードの近くと伝えた。ムザファラバードはパキスタン統治地区の首府にあたる。またジャンム・カシミール州(カシミールのインド統治地区)のヴィジャイ・バカヤ主席事務官の発言として、カシミールで142人、ジャンムで15人、計157人が死亡し、パキスタンでは1,000人以上が死亡したと伝えた。その後、ロイターはインドでの死者は300人を超えると報じた。

8日の日本経済新聞によると、パキスタン大統領府報道官は、死者は数千人に達する恐れがあると語った。AP通信は、パキスタン北西部の倒壊したある学校で、250人の少女が死亡したと伝えた。

NHKによると、パキスタン軍は、パキスタン北部のいくつかの村で壊滅的な被害が報告されていると発表した。

パキスタン軍のスルタン報道官は、日本時間9日午前11時、CNNに、死者の数が1万8,020人、負傷者が4万1,188人に上り、カシミールのパキスタン統治地域が最も多く、北西辺境州やそのほかの北部の地域がそれに続いていると述べた。

朝日新聞によると、9日午後の閣議でパキスタンのシェルパオ内相は、同国内の死者は1万9,136人、負傷者は4万2,397人であると述べた。

国際社会の反応

主にパキスタンに対する国際的な支援の申し入れが報道されている。

共同通信によると、アナン国際連合事務総長が8日声明を発表し、国連緊急援助調整官室(OCHA)が罹災3ヶ国政府と連絡を取って、支援策を検討すると発表した。朝日新聞によると、OCHAは9日にもイスラマバードに入る。

ロイター通信(8日、UTC、日本時間9日)および朝日新聞(10日1時、日本時間)がAFPなどによるとして伝えた情報によると、米・英・仏・独・中・日・インド・トルコ・・ギリシャ・スイス・アラブ首長国連邦政府などが捜索・医療のためのチームの派遣を中心に、支援の申し入れをしている。ブッシュ米大統領は、米政府が支援に着手したと語った。またイギリス政府は、調査・救難専門家、災害救助犬、救援スタッフを出発させた。中国国際放送局によると、中華人民共和国は9日、国際支援隊をパキスタンに送った。

またロイターによれば、インドのシン首相は電話でパキスタンのムシャラフ大統領に支援の申し出を行った。

このほか、トルコは軍用機二台を派遣し、負傷者の輸送など救助に当たらせる。ロシアも軍用輸送機の提供を申し出ている。

CNNによると、在イスラマバード ドイツ大使館は、400万パキスタン・ルピー(約6万7,000米ドル)を用意したと声明を出した。

日本は、8日にパキスタン政府の要請を受け、国際緊急援助隊の派遣を決定したと、外務省が発表した。9日のNHKによれば、第1陣として警察・消防関係者による救助チーム49人がすでに派遣され、10日未明(日本時間)現地入りする。医療チームの派遣も検討されている。また10日のNHKによれば、人員の派遣のほか、毛布や浄水器など緊急援助物資の供与を行う。さらにきめ細かい支援のため、政府は谷川外務副大臣をパキスタンに派遣することを決定した。早ければ10日に日本を発ち、被災地の視察を行い、パキスタン当局者と今後の支援について協議を行うことを目的とする。

関連項目

出典


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