パキスタン大統領、救助活動の遅れについてテレビで演説

【2005年10月13日】

パキスタンパルヴェーズ・ムシャラフ大統領は、パキスタン北部で8日に発生した地震について12日夜(日本時間13日未明)テレビで演説し、地震に対する政府の救援活動が遅滞していることを認め、謝罪した。読売新聞、朝日新聞が伝えた。

大統領は遅滞によって「被災者をさらに苦しめてしまった」と述べ、理由を交通の遮断などであるとした。また、地震の起きたカシミール地方の領有権を巡って対立しているインドからの支援について特に触れ、謝意を表した。

地震被害 編集

朝日新聞は、パキスタンでの犠牲者の数を2万3,000人としている。また国連は被害のあった三ヶ国での被災者数を250万人と推定し、400万人が被災し、100万人以上が緊急援助活動を必要しているとしている。

読売新聞によると、パキスタン北部、北西辺境州のバラコートでは、シャヒン・パブリックスクールが完全に崩れるなど、町全体の建物が崩壊している。

イスラマバードの高層アパート、マルガラ・タワーズの崩壊について、警察当局は12日、違法な増築があったと見て捜査を開始した。

救援活動と国際的支援 編集

パキスタン国内では、パキスタン軍のほか、隣国のアフガニスタンに駐留している米軍が援助活動に参加している。また読売新聞は、カシミールの停戦ラインを超えてインド兵がパキスタン側の復旧を手伝うなどの活動を伝えている。

朝日新聞によると、震源に近く被害の大きかったムザファラバードには、11日から援助物資が届き始めた。人々は救援物資を求め、また余震におびえている。AFP通信によると、12日、地震で崩壊した住宅跡から45歳の女性が105時間ぶりに救出された。またこの日、5歳の女の子が自力でがれきからはい出してきたという。

中央アジアを歴訪中だったアメリカのコンドリーザ・ライス国務長官は、予定を変更し、12日パキスタンを訪問した。CNNによれば救援態勢などを話し合うとしている。米国はアフガニスタンなどを拠点とするアルカイーダ対策のため、パキスタンとの友好関係を重視している。読売新聞は、米国がカシミールを根拠とするとみられるテロ組織の動向にも関心を持っていると伝えた。

日本からの支援 編集

日本の谷川秀善外務副大臣は援助についてパキスタン政府と協議するため現地を訪れている。外務省によると副大臣は12日午前9時(現地時間)、イスラマバードでショーカット・アジーズ首相らと会談し、支援について説明した。また副大臣は同じ日、高層アパート、マルガラ・タワーズの現場を視察した。

防衛庁は、陸上自衛隊が、パキスタンで国際緊急援助活動等を行うこと、航空自衛隊は、陸上自衛隊の国際緊急援助隊を輸送することを12日発表した。新聞報道によれば、陸自約120人、空自約170人を派遣する。国際緊急援助隊は陸上自衛隊第五旅団(帯広)約50人および北部方面航空隊(札幌)約120人から構成される。14日に日本を出発の予定。

また日本からの国際緊急援助隊本隊の到着前に、21人の先遣隊がイスラマバード入りしている。読売新聞によれば、先遣隊はパキスタン政府や軍と支援の内容について打ち合わせを行う。

支援の窓口 編集

  • 日本赤十字社では、 11日より11月30日までパキスタン北部地震災害救援金を募集している。郵便振替で、口座名義は日本赤十字社、口座番号は00110−2−5606。通信欄に「パキスタン北部地震」と明記すると振替手数料は免除される。
  • 国連世界食糧計画では、緊急援助募金への協力を呼びかけている。郵便振替で加入者名「国連WFP協会」、口座番号00290-8-37418。「緊急援助」と明記。またはインターネット募金のページから「緊急援助」を選択(要クレジットカード)。
  • イスラマバード在住の督永忠子さんらは9日までに、被災者への食料や医療費を目的とした「パキスタン大地震緊急募金」を設立した。振込先は中央労働金庫目黒支店普通預金、1314624、「日パ・ウェルフェアー・アソシエーション」。(既報)

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