JR西日本が10億円の申告漏れを指摘される
【2011年4月22日】
朝日新聞・読売新聞によると、JR西日本(本社:大阪市)が、大阪国税局の税務調査を受け、2010年3月(UTC+9)期までの数年間において約10億円の申告漏れを指摘されたことが判明した。
朝日新聞によると、追徴課税(更正処分)は約3億円と見られる。また、同社のグループ会社である建築会社・ジェイアール西日本ビルト(本社:兵庫県尼崎市。以下、「ビルト社」)も、2009年12月期までの3年間において約4,300万円の申告漏れを指摘され、このうちの約3,400万円については所得隠しと認定された模様である。読売新聞によれば、経費の計上方法を巡る税務処理のミスとされる。
読売新聞が同社などの話として伝えたところによると、同社は、駅舎の補修や電車の部品交換などの費用について、各実施年度に経費計上していたものの、同国税局はこれらによってその年度の損金が膨張するため、申告所得が減少すると判断。その上で、補修された駅舎などについて耐用年数が延びる点に鑑み、「費用は延びた耐用年数で割り、それぞれの年に分散して経費計上すべきである」と指摘した模様である。
朝日新聞によると、「JR西の担当者」は、「個別の税務調査の詳しい内容については答えられない」と、コメントを拒否。ただ、「関係者」によると、設備補修費について、同社は修繕費にあたると判断したが、大阪国税局は、耐用年数に応じて分けて計上すべき「資本的支出」にあたるなどと指摘したという。同社は過去にも、2004年3月期までの2年間において、鉄道設備の修繕費などを巡り、法人所得約5億5,000万円の申告漏れを指摘されたことがある。同社の2010年3月期の単体売上高は約8,160億円。一方、読売新聞によれば、同社の広報部は、「国税局とは見解の相違があった」と述べた。
一方、朝日新聞によると、ビルト社は、2007年から08年にかけて久米田駅(大阪府岸和田市)のエレベーター関連工事を手掛けたが、その際、下請会社に対し追加工事費を支払う必要が生じたが、追加工事費を支払った場合は赤字が生じるために、一部を別の工事代金名目で払ったものの、下請け会社は名目とされた別の工事には関与していないことが判明したため、同国税局は「仮装経理に当たる」と認定。 ビルト社の追徴税額は約2,000万円と見られている。
情報源
編集- 瀬戸口和秀(asahi.com) 『JR西が申告漏れ10億円 補修費を一括計上 国税指摘』 — 朝日新聞社, 2011年4月22日
- YOMIURI ONLINE 『JR西が10億円申告漏れ、税務処理ミスで』 — 読売新聞社, 2011年4月22日