小惑星探査機はやぶさ、地球に帰還 回収カプセルがオーストラリアの砂漠に落下
【2010年6月14日】
小惑星探査機「はやぶさ」は6月13日午後11時21分(UTC+9:30)、オーストラリア上空で大気圏に再突入し、7年ぶりの地球への帰還を果たした[1]。月よりも遠い天体に着地した探査機が地球へ帰還したのは世界初となる[1][2]。
「はやぶさ」は同日の午後7時51分(UTC+9、以下同様)、宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)の指令を受け、小惑星イトカワの砂が入っている可能性のあるカプセルを分離[2]、本体とカプセルがほぼ同時に落下した[1]。落下予測地点であるオーストラリアでは、大気圏突入時の流れ星に似た発光現象が探索隊によって確認され[2]、空が満月時のような明るさに照らされたという[1]。
「はやぶさ」の本体は午後10時28分に行われた通信を最後に大気圏突入で燃え尽きたと見られる[2]。一方、カプセルはオーストラリア南部のウーメラ近郊の砂漠に落下[2][3]。探索隊がパラシュートで降下するカプセルから発信された信号電波を受信し[2]、落下直後に行われたヘリコプターによる捜索で、予測の範囲内に落下しているカプセルが確認された[1][2][3]。宇宙機構は、14日午後にカプセルを回収し[3]、順調にいけば18日にも神奈川県相模原市にある宇宙機構相模原キャンパスに搬入する予定[2][3]。カプセルにイトカワの砂が入っているかどうかの確認には時間を要する見通しであるという[2]。砂が入っていれば、月面で石を回収したルナ計画(旧ソ連)・アポロ計画(アメリカ)、宇宙空間で彗星の塵を回収したアメリカの探査機に次ぐ成功例となる[1]。
「はやぶさ」は2003年5月に鹿児島県の内之浦から打ち上げられ、2005年9月にイトカワに到達。その後は姿勢制御装置の故障や燃料漏れなどのトラブルが相次いだが、運用チームの努力・工夫により解決策を見出し、予定より3年遅れでの帰還を果たした[1][2]。プロジェクト責任者の川口淳一郎教授は記者会見で、「応援された全ての方にミッションを完遂できたと報告したい。最後は、はやぶさ自身に助けられた」と述べた[2]。
情報源
編集本ニュースは「朝日新聞」と「時事通信」、「共同通信」の以下の報道を情報源としている。
関連ニュース
編集- "小惑星「イトカワ」の探査ロボット、着陸失敗か"。ウィキニュース、2005年11月14日
- "探査機はやぶさ、小惑星「糸川」に着陸していた―データ解析で判明"。ウィキニュース、2005年11月25日
- "探査機はやぶさ、小惑星「糸川」に再び着陸、岩石採取も成功"。ウィキニュース、2005年11月26日
- "小惑星探査機はやぶさ、地球帰還にむけ準備開始"。ウィキニュース、2006年12月3日
- "はやぶさ後継の小惑星探査計画、予算獲得をめざし宇宙開発委員会に報告"。ウィキニュース、2006年12月4日
- "小惑星探査機はやぶさ、地球への帰還軌道へ"。ウィキニュース、2010年3月31日