中国製餃子の冷凍食品で食中毒 JTフーズが回収

【2008年1月31日】

餃子(GFDL 本ページの商品とは関係ありません)

朝日新聞によると、兵庫県千葉県で3家族・10人が、中国の「天洋食品廠公司」で生産された餃子冷凍食品を食べて、めまいや嘔吐(おうと)などの食中毒症状を訴え、そのうち9人が入院していたことが1月30日までにわかり、千葉兵庫の両警察本部がこのうちの2家族の食べた餃子を検査したところ、有機リン系農薬が検出された。これを受けて、この冷凍餃子を輸入した日本たばこ産業子会社・ジェイティフーズ(JTフーズ)社はこの餃子を含め、同じ工場で製造された23の商品について自主回収を行うことを決めた。

警察の調べで、食中毒を訴えたのは千葉県市川市の家族5人と、千葉市の2人、兵庫県高砂市の家族3人の合計10人。市川市の家族らは1月22日、同市内のコープ市川店で、「手作り餃子40個入り」を食べ、その後下痢や吐き気を訴え、特に5歳の次女が意識不明の重体、その他4人も重症となり、病院に運ばれ現在も入院中だが快方に向っているという。また、千葉市の2人は2007年12月28日に同市内花見川区にあるコープ花見川店で同じ商品を購入、食べたところ吐き気を催し、1日間の入院や通院をしていた。更に高砂市の家族は1月5日に市内スーパーで買った「手包みひとくち餃子20個入り」を食べ、その直後に同じような吐き気などの症状を訴えて入院した。

警察の調べで検出されたメタミドホスは、殺虫剤の含有成分で、中国本土では農薬として使われているが、日本では農薬として使うことが認められてないため入手が難しいとされている。致死量は成人の体重50kgの人で1.5g。また朝日のインタビューに答えた「農薬毒性の辞典」の著者河村宏氏の説明では「ネズミを使った動物実験で、半数が死亡した量は体重1kgにつき7.5mgに相当する。農薬の散布中に中毒症状や死亡事故が相次いだため使用禁止となったパラチオンと同じレベルで、また野菜や樹木のアオムシ駆除に使われるアセフェートにも分子構造が似ている」とされている。

朝日新聞の別記事によると、兵庫県に今回の食中毒症状があったという一報が伝わったのは1月6日。明くる7日に兵庫県はJTフーズを管轄する東京都に報告したものの、これを公表しなかった。兵庫県生活衛生課は「国内で誰かが故意(わざと)に混入した事件性の高い問題として県警の捜査を優先させるべきと考えたので公表は慎重を期さざるを得なかった」として、消費者や販売店に対しても注意を行わなかった。また、東京都も品川区に依頼して同区からJTフーズに問い合わせたが、他に健康被害がなく、「製品自体の問題ではない」として公表をしなかった。更に兵庫県が千葉県で同じケースがあったと知ったのは1月29日になってからで、「メタミドホスが検出された」という兵庫県警の検査結果を聞いていた時にそれを知り、東京都もこの日夕方に千葉県からの報告を受けて、30日JTフーズへの立ち入り調査を行ったという。東京都の福祉保健局は「1月7日の段階で調査をしていたら市川市のケースは防げたかもしれない」と話している。

また、産経新聞によると埼玉県でも所沢市の女性が1月17日に同じ中国製の「コープ手作り餃子」(2007年9月17日製造)を食べたところ、下痢などの食中毒を訴えたことがわかった。この女性は2日で症状が回復した。埼玉県の食品安全課の説明では所沢保健所が女性宅にあった餃子の残りを回収して同県の衛星研究所で調べたがメタミドホスなどは検出されなかった。また製造日は千葉・兵庫のものとは異なっていた。

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