天皇陛下、お気持ち表明 - 象徴としてのお務めを案じられる
【2016年8月8日】
天皇陛下は8月8日午後3時からビデオメッセージの形で、「象徴天皇としてのお務め」に関してお気持ちを表した[1]。ビデオメッセージの中で天皇陛下は、日本国憲法に定められた立場を考慮し、「現行の皇室制度に具体的に触れることは避け、個人として考えたこと」[2]「高齢化社会となる中で、天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか、個人として、これまで考えて来たことを話したい」[3]と述べ、直接的に「生前退位」の意向を表現することは無かったものの、「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないか」[1]「(天皇が重篤な状態となった場合)社会が停滞し、国民生活に影響が及ぶ」[4]と懸念を述べ、退位の意向をにじませる内容となったほか[1][4]、「象徴天皇の務めが常に途切れること無く安定的に続くことを念じる」とお務めに関して述べられた[5]。また、摂政を置くことに関しては「生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりない」との考えを述べたほか[2]、公務の負担軽減に関しても「人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け寄りそうことを大切と考えてきた」との考えを述べた[4]。
天皇陛下のおことばを受けて、安倍晋三内閣総理大臣は、「私としては天皇陛下が国民に向けて、発言されたことを重く受け止め、公務の在り方などについて、天皇陛下のご心労に思いを致し、どのようなことができるのか、しっかりと考えてていかなければならないと思う。」とコメントした。また、大島理森衆議院議長は「天皇陛下が、象徴天皇としての立場を第一に考え、国民に寄り添おうとする姿勢を示されることで、天皇陛下に負担がかかっていることは恐懼の至りであり、じくじたる思い。」「天皇陛下のおことばを立法府の長として受け止めたい」とコメントし、皇室の在り方についても「国民が幅広く議論し、国民を代表する国会議員は、これらの議論について粛然した対応をすることを望む」とコメントした。伊達忠一参議院議長は、「天皇陛下は、象徴として皇后陛下とともに、常に国民に寄り添い、公務はもとより、被災地のお見舞いや戦没者の慰霊等に心をこめて取り組まれてきた。その姿に深い敬慕の念を抱いてきた。天皇陛下のおことばを承り、その心を謹んで受け止めております。」とコメントし、今後の皇室の在り方について議論が深まっていくと思われるとした[6]。
また、天皇陛下のおことばに関して日本国外のメディアも大々的に報じ、韓国KBS放送、聯合ニュース、中国・新華社通信、台湾・中央通信、アメリカ・CNNや各新聞、イギリス放送協会(BBC)、ロイター通信などが報道している[7]。
情報源
編集- ↑ 1.0 1.1 1.2 島康彦、多田晃子 『天皇陛下、お気持ち表明 ビデオメッセージ』 — 朝日新聞, 2016年8月8日
- ↑ 2.0 2.1 『「象徴の務め 案じる」 天皇陛下「生前退位」で思い』 — 中日新聞, 2016年8月8日
- ↑ 『象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば』 — 宮内庁, 2016年8月8日
- ↑ 4.0 4.1 4.2 『天皇陛下「お気持ち」表明 「生前退位」を強く示唆』 — 日本経済新聞, 2016年8月8日
- ↑ 『象徴天皇の務めが安定的に続くこと念じる=天皇陛下お言葉』 — ロイター通信, 2016年8月8日
- ↑ 『首相 天皇陛下のお気持ち表明 重く受け止める』 — 日本放送協会, 2016年8月8日
- ↑ 『天皇陛下 お気持ち表明 外国メディアも速報』 — 日本放送協会, 2016年8月8日