天皇陛下、「生前退位」の意向を示される - 宮内庁関係者
【2016年7月13日】
7月13日、天皇陛下は今後数年以内に「生前退位」を行い、皇太子さまに天皇を譲位する意向を示されていることが分かった[1]。宮内庁関係者によると、天皇陛下は、「日本国憲法」に定められた象徴としての務めを十分に果たせる者が天皇の位にあるべき」と考え、今後数年以内の譲位を望まれているという[1]。関係者の話によると、天皇陛下は5年ほど前からこのようなお考えをお持ちになっており、『天皇陛下自身の天皇としてあるべき姿が体現できなくなる前に譲位されたい』という考えを示されてきたという[2]。天皇陛下は現在82歳。2011年に気管支炎のためにご入院、また2012年には心臓のバイパス手術などをお受けになられている[3]。
一方で、宮内庁の山本信一郎次長は取材に対して「そのような事実は一切なく、天皇陛下は、憲政上の立場を考慮し皇室典範や皇室制度に関する発言は差し控えてきた」と述べ、一連の報道を否定している[4]。同様に、宮内庁の風岡典之長官も「(天皇陛下は)皇室制度に関しては国会に判断を委ねており、陛下がどのようにすべきがおっしゃったことはなく、あり得ない話」と述べ、報道を否定している[4]。風岡長官は報道から1夜明けた14日の定例記者会見で「退位の意向を示されているということはなく、天皇陛下が生前退位について言及されたことはない。(意向の公表も)予定はないが、天皇陛下がご活動される中でいろいろなお考えをお持ちになることは自然であり得ることだ」と述べ、再度報道を否定した[5]。また、天皇陛下のお気持ちについて第三者が解説をしたり推測することは適当ではないとしている[5]。
皇室制度について定めた「皇室典範」には、天皇の退位についての規定が定められておらず、今後この皇室典範の改定についての議論が行われる可能性がある[6]。しかしながら宮内庁はこれまで、天皇の意思に反した退位が行われる恐れや、恣意的に退位する恐れがあるとして「生前退位」は認められないとの考えを示している[1]。また、政府関係者の一人は「天皇が公務を続けられない場合摂政を置くとしている現行の皇室典範でも対応可能」としている[7]。一方、菅義偉内閣官房長官は14日の会見で、皇室典範改正に関しては考えていないとし、改正を否定している[8]。
政界の反応
編集報道を受け与野党は皇室典範の改正に向けた議論が必要になるとコメントを述べており[9]、与党・自民党の佐藤勉国会対策委員長は「改正に向けた議論を党内で行わなければならない。慎重に対応しなければならない」と述べたほか[9]、公明党幹部は「どういう形で改正をするか議論がある。「女性宮家」や「女性天皇」の容認等を含めた包括的な議論になると思う」と述べている[10]。また、野党・民進党の松原仁元国家公安委員長も「改正に向けた議論となる。極めて重要だ」と述べたほか、おおさか維新の会の馬場伸幸幹事長は「天皇陛下がそのような意向をお持ちになっているのであれば、全面的に改正に協力したい」と述べ、社民党幹部も「ご本人の意思を尊重したい」と述べた[10]。日本共産党の志位和夫委員長は「現時点でのコメントは差し控える」としている[11]。
また、石原慎太郎元東京都知事は出演したテレビ番組内で「ショック。陛下は私より1歳上であるが、災害地への訪問、太平洋戦争の犠牲者への慰霊等、頑張っていらっしゃる。もうちょっと頑張っていただきたい。また、日本の象徴としての天皇であってほしい。」と述べた上で「生前退位」については「憲法問題となり、日本社会に大きな混乱がおこる」と述べている[12]。
日本国外の反応
編集天皇陛下の生前退位については、日本国外の報道機関でも、日本のメディアの記事を引用する形で速報し、ロイターは、天皇陛下はここ数年御健康上の問題をお抱えになっており、今年陛下がインフルエンザの診断をお受けになられたことや、後継者となる皇太子さまが56歳であることを伝え、またイギリス放送協会(BBC)も、近現代の日本において生前退位の事例がないことを触れていると伝えている[13]。このほかにも、聯合ニュース(韓国)や中国国営通信(新華社)(中国)も速報として伝えている[14]。
情報源
編集- ↑ 1.0 1.1 1.2 『天皇陛下「生前退位」のご意向』 — 日本放送協会, 2016年7月19日
- ↑ 『天皇陛下 「生前退位」の意向示される』 — 日本放送協会,
- ↑ 産経新聞 『天皇陛下 「生前退位」のご意向』 — 産経新聞, 2016年7月13日
- ↑ 4.0 4.1 時事通信 『「そうした事実一切ない」=宮内庁幹部は報道否定-生前退位』 — jiji.com, 2016年7月13日
- ↑ 5.0 5.1 時事通信 『陛下自身、お気持ち公表も=退位意向、数年前から-宮内庁長官、改めて否定』 — jiji.com, 2016年7月14日
- ↑ 高島博之、長谷川豊 『天皇陛下「生前退位」意向 数年内に譲位』 — 毎日新聞, 2016年7月13日
- ↑ 時事通信 『典範改正の是非焦点に=生前退位に慎重論も-政府』 — jiji.com, 2016年7月13日
- ↑ 島康彦 『「生前退位の意向」なぜ否定? 憲法上の天皇の立場考慮』 — 朝日新聞, 2016年7月14日
- ↑ 9.0 9.1 共同通信 『与野党、皇室典範改正に前向き』 — 47 NEWS, 2016年7月13日
- ↑ 10.0 10.1 時事通信 『谷垣自民幹事長、政府に説明求める=与野党から皇室典範改正論-生前退位』 — jiji.com, 2016年7月13日
- ↑ 産経新聞 『共産・志位和夫委員長「ご本人のご意向確認できないのでコメント控える」』 — 産経新聞ニュース, 2016年7月14日
- ↑ 産経新聞 『石原慎太郎元東京都知事「ショック。大きな混乱起こる」』 — 産経新聞ニュース, 2016年7月13日
- ↑ 『天皇陛下「生前退位」意向海外メディアが速報』 — 毎日新聞, 2016年7月13日
- ↑ 共同通信 『生前退位、海外メディアも速報』 — 47 NEWS, 2016年7月13日