乳酸菌にあるアレルギー抑制効果、メカニズムの一部解明

【2008年2月3日】

毎日新聞によると、東京大学などの研究グループはマウスを用いた実験により、腸内に存在する乳酸菌の一種がアレルギーの発症要因となる免疫細胞を細胞死に導くことを発見した。発表論文は欧州の免疫学専門誌「イムノバイオロジー」電子版に掲載された[1]

正常な体内では免疫細胞である「Th1」と「Th2」の均衡は保たれているが、何らかの理由によりバランスが崩れてTh2が増えると「IgE」と呼ばれる抗体が過剰に作られ、アレルギー反応が発生することが分かっている。アレルギーを持つ人はTh2が過剰な傾向がある一方、アレルギー症状のある子どもは、乳酸菌のビフィズス菌ラクトバチルス菌が腸内に少ないという報告が今までにもあった。

東大の八村敏志准教授らのグループは、培養したマウスのTh2細胞にラクトバチルス菌を添加した場合、添加しない群に比べて過剰なTh2が1割程度多く細胞死が起きることを確認した。マウスにこの菌を経口投与しても、同様の結果がでた。

毎日新聞の取材に対し、八村准教授は「乳酸菌はTh1を増やす働きが知られていたが、Th2の細胞死を促してアレルギーを抑える仕組みもある。乳酸菌摂取が症状緩和につながる可能性がある」と話している。

出典

編集

参考文献

編集
  1. Kanzato H, et al. Lactobacillus acidophilus strain L-92 induces apoptosis of antigen-stimulated T cells by modulating dendritic cell function. Immunobiology, in press.

関連項目

編集