アレルギー発症に関与する新物質 発見

【2007年12月23日】

理化学研究所は3日、同研究所の研究チームが花粉症ぜんそくなどのアレルギー疾患の発症に関与する新たなタンパク質を発見したと発表した。研究は3日付けの米科学誌Nature Immunologyの電子版[1]に発表された。

同研究所によれば、現在、日本人の約3割は何らかのアレルギー疾患にかかっており、このタンパク質を制御することで、新たな治療法の開発が期待できるとしている。

アレルギーの症状は、いずれも体内に入った異物(抗原)に刺激された肥満細胞からヒスタミンという物質が分泌されることで発生する。今までヒスタミンは細胞内のカルシウム濃度が高くなると分泌されることが知られていたが、カルシウム量がどのような仕組みで制御されているのかはよくわかっていなかった。

研究チームが発見したのはSTIM1というタンパク質で、細胞内で情報伝達物質として働くカルシウムイオンをためておく小胞体の膜上にある。遺伝子操作でSTIM1が存在しないマウスを作り、その細胞を抗原で刺激するとカルシウム濃度が抑えられ、ヒスタミンの分泌量も著しく低下することが確認できた。

読売新聞の取材に対し、黒崎知博グループディレクターは、新しい治療法を開発するためには(今後の研究で)STIM1の役割をより細かく突き止める必要があるとしている。

出典

編集

参考文献

編集
  1. Baba Y, et al. Essential function for the calcium sensor STIM1 in mast cell activation and anaphylactic responses. Nat Immunol. 2007 Dec 2. PMID 18059272 (英語)

関連項目

編集