結核菌ワクチンが花粉症を抑える仕組みを理研などが解明

【2006年12月19日】 理化学研究所(理研)が12月18日に発表したところによると、理研の免疫・アレルギー科学総合研究センターと千葉大学大学院医学研究院は共同で、結核予防ワクチン「BCG」がアレルギー反応を抑制する機構を解明した。成果は米国の科学雑誌“The Journal of Experimental Medicine”12月25日号に掲載される。

喘息花粉症アトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患は、ここ20年で先進国を中心に増加している。この現象を説明する仮説の一つに「衛生仮説」というものがある。これは衛生環境が向上した結果、幼少時に感染性病原体に曝される機会が減ったことがアレルギー疾患の増加に関係するという説である。朝日新聞によれば、例えば、結核に感染していることを示すツベルクリン反応が陽性の人は、陰性の人に比べ、ぜんそくの発生率が4分の1であることが知られている。BCGとは結核菌を弱らせたものであり、理研によれば、これまでにもBCGがアレルギー症状を和らげることが報告されている。しかしその仕組みはこれまで知られていなかった。

ウィキペディアによると、気管支喘息、花粉症などのアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎はいずれもI型アレルギーに分類され、免疫グロブリンE (IgE) という抗体が肥満細胞と結合し、これが抗原と結合するとヒスタミンなどの生理活性物質をばら撒いて炎症を引き起こすという機構で発生する。抗体はB細胞という免疫細胞により生産される。詳細はw:アレルギーw:抗体を参照のこと。

理研によると研究チームは、マウスにBCGを接種したところ、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)という免疫機能を制御する細胞が25%増加しIgEが減少したことを確認した。さらにNKT細胞がインターロイキン21 (IL-21) という物質を介して、B細胞の一種であるBε細胞のIgE生産を90%以上減少させることを実験で確認した。また、NKT細胞がBε細胞の細胞死を招くBmfという物質を活性化することを発見した。以上から研究チームは、BCGによって活性化されたNKT細胞がB細胞を殺し、それによって急激にIgEが減少することによってアレルギー症状が抑えられると結論づけた。このような仕組みはヒトにも存在するが、遺伝的に効きにくい場合もあるという。

理研によると、この研究によって衛生仮説を実験的に検証し、衛生仮説以外に遺伝的要因が存在することが明らかになった。また、新しいアレルギー治療薬の開発にもつながるという。

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