実刑服役後、誤認であることが判明—富山

【2007年1月21日】

朝日新聞、読売新聞、スポーツニッポンなどによると、19日、富山県警察と富山地方検察庁は、2002年に富山県で起きた婦女暴行事件と婦女暴行未遂事件で逮捕、起訴され、懲役3年の実刑判決を受け服役した男性(34)が無実だったと発表した。

朝日新聞、読売新聞、スポーツニッポンによると、同県警は事実関係を次のように説明している

婦女暴行未遂事件は2002年1月に、婦女暴行事件は同年3月に発生した。聞き込み捜査や目撃証言により作成された似顔絵から、当時氷見市内のタクシー運転手だった男性 (34) が婦女暴行未遂事件の犯人であるとの疑いが生じ、氷見署が被害者に遠目で確認させ、「似ている」との証言を得た上で、同年4月、同署はその男性の事情聴取を行った。

その男性は、2日目まで「身に覚えがない」と犯行を否認していたが、3日目に婦女暴行未遂事件の犯行を自供した。氷見署はその男性を婦女暴行未遂で逮捕し、さらに、5月に婦女暴行事件で再逮捕した。

その後、その男性は起訴されたが、公判でも一貫して起訴事実を認め、11月に富山地裁高岡支部で懲役3年の実刑判決を受けた。男性の控訴がなかったため、判決は12月に確定し、男性は、約8か月間の勾留に引き続き、2年1か月の服役を経て、2005年1月に仮釈放された。

ところが、その後、強制わいせつ容疑で鳥取県警察に逮捕された別の男 (51) が、別の婦女暴行致傷と婦女暴行未遂事件の取調べ中、2002年に富山県内で起きた上記の事件の犯行を自供し、足跡が一致したことなどから、氷見署はこれらの事件の真犯人がこの男であると判断した。

朝日新聞によると、富山県警は、現場に残っていた足跡が、男性のものと一致しなかったことを認識しながら、逮捕に踏み切っていた。また、うち1件は、その男性宅の電話の発進時刻と犯行時刻が近く、アリバイが成立する可能性があったことも見落としていた。同県警は、捜査について、威嚇などはしておらず、取調べ方法は適切だったが、裏付け捜査が不十分で欠陥があったといわざるを得ない、としている。

スポーツニッポンによると、男性の父が服役中に死亡したため、男性はその葬儀に参列できなかった。同県警は男性の家族に謝罪したが、行方不明のため男性には直接謝罪できていない。

朝日新聞によると、同県警の小林勉刑事部長は、「誤認逮捕した男性に心からおわび申し上げる。今回のことを重く受け止め、真相の究明と再発の防止に努めたい」と話している。

また、朝日新聞などによると、富山地検も、同日記者会見を開き、無実だった男性の裁判のやり直しのため、富山地裁高岡支部に再審請求して無罪を論告求刑する方針を発表した。同地検の佐野仁志次席検事は、「基本に忠実な捜査を怠り、客観的な証拠への問題意識が足りなかった。捜査が不十分だったと認識しており、申し訳ない。基本に忠実な捜査を徹底し、再発防止に努める」と話している。

北陸中日新聞によると、無実の男性に対し有罪判決を行なった富山地裁は「とくにコメントすることはない」とコメントしている。

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