世界各国で計71人がタミフル服用後死亡―アメリカ食品医薬品局

【2005年11月19日】

オセルタミビルの構造式

インフルエンザの治療薬オセルタミビル(商品名:タミフル)服用後の死亡例が、世界全体で71例報告されていることが、アメリカ食品医薬品局(FDA)の調査で分かった。71例のうち、58人は17歳以上、12人が16歳以下、1人が年齢不詳で、17歳以上の4割はアメリカ人、そのほかは国籍が公表されていない。16歳以下の12人はすべて日本人だった。

読売新聞によれば、死亡した日本人の子どもは2-3歳が7人と多数を占めているほか、症状として突然死、心肺停止、意識障害、急性すい炎、肺炎、窒息などがみられた。世界全体では、死亡までには至らなかったものの異常行動などが32人、重い皮膚の異常が12人にみられたという。

11月18日、FDAは調査結果を小児科助言委員会に報告し、同委員会は使用量の差と死者数・症例との関係について検討しているが、同委員会の委員長は、死亡例はインフルエンザそのものが原因で、薬との関係はないだろうと述べている。タミフルの製造元のスイス・ロシュ社は、過去5年のタミフル使用量は、日本が全体の77%、アメリカが20%であり、とくに子どもの場合日本はアメリカの13倍も多いとしている。

また、18日にFDAの小児科諮問委員会が開かれ、調査したデータからは死亡例や意識障害などの症例とタミフルの作用との因果関係を示す証拠が発見できなかったとし、同局に副作用の監視を継続するよう要請した。同局も今後2年間監視を継続し、2年後に再び報告書をまとめると発表した。

また、日本では新型インフルエンザ対策として2,500万人分の備蓄を決定したばかりだが、厚生労働省は症例と薬との関係に否定的で、備蓄を予定どおり進める考えだと、産経新聞は伝えた。

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