【2005年9月15日】

北アイルランドの位置(濃いオレンジ色)

イギリス・北アイルランドのベルファストで9月11日土曜日に始まった暴動は、4日目も続いたものの沈静に向かっていると欧米各紙が報道した。一方、北アイルランド和平の今後の進展には、悲観的な観測が多くなされている。

シカゴ・トリビューン紙は、イギリス政府が公式にプロテスタント系のアルスター義勇軍(UVF)の関与を認め、UVFが1994年の停戦合意に違反したと14日に断定したと報じ、イギリスのピーター・ハイン北アイルランド相の「われわれは暴力を容認しない」とする発言を伝えた。シカゴ・トリビューン紙は、こうした発表が象徴的なものであるとしつつ、プロテスタント系住民による武装組織が公然と敵対行為をする可能性があるとの観測を示している。

当初から北アイルランドの警察当局などは、オレンジ団などのプロテスタント系住民グループが投石をはじめたと指摘していた。またハイン北アイルランド相も、オレンジ団に実質的な責任があるとの発言を行っていた。

これに対し、プロテスタント住民グループは、こうした政府当局者の発言に反発している。タイムズ紙によれば、オレンジ団の幹部であるロバート・ソルタース・オレンジ団グランドマスターは、14日、地元ラジオ局に出演し、ハイン北アイルランド相の発言やこれまでの取り組みを非難するとともに、「暴動は警官が起こした」「オレンジ団員が自衛を行っただけかもしれない」と述べた。別の幹部も、同様の発言をし、オレンジ団の関与を否定するとともに警察が暴力を振るったと非難していた。

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