WHO、アフリカに結核非常事態宣言

【2005年8月29日】 43ヶ国の保健相から構成される世界保健機構(WHO)アフリカ地域委員会は、26日、アフリカ全域に結核非常事態宣言を出した。

アフリカ諸国での年間の結核患者の数は、1990年の4倍にもなっており、罹患者のいる国の数も増え続けている。現在、アフリカでは、毎年54万人が結核で死亡している。

世界全体では、毎年200万人が結核で死亡しているが、これよりも死亡者数の多い病気はエイズ(HIV/AIDS)だけである。

アフリカ諸国のうち、タンザニアやマラウイなどは、結核対策戦略、DOTSを最初期に導入した。DOTS(Directly Observed Treatment, Short-course)は「効果があると証明された結核対策戦略」として定評があり、現在では日本を含め国際的に採用されている。しかしアフリカでDOTSが実際の成功を収めたとはいえない。マラウイでは過去15年間で、1年当たりの結核の症例数が4倍に増加している。WHOでは、その原因が、貧困、不十分な医療制度、HIVであるとしている。

資金援助は極めて重要な問題である。2003年の報告では、最も結核の感染が深刻なアフリカ9ヶ国のうち8ヶ国で、結核対策計画の実施に必要な資金が不足していた。しかし一方でWHOは、資金だけでは問題が解決しないことを強調し、医療制度の改善と医療従事者の充足が必要であるとしている。

世界の他の地域では、結核の罹患率は変化しないか、または減少しているが、アフリカだけは結核の症例が増加している。

英語版ウィキニュースからの翻訳に基づいています。

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