2014年8月は「30年に1回以下の異常気象」だった - 気象庁分析検討会
【2014年9月4日】
9月3日に気象庁で、「平成26年8月豪雨」を始めとした直近の気象状況について「異常気象分析検討会」が行われ[1][2][3]、 検討会の会長を務める木本昌秀東京大学大気海洋研究所教授により、検討会の分析結果が公表された[1][2][3]。検討会では西日本を中心とした一連の集中豪雨や、日照時間が平年の半分にしか達せず統計史上最少であったことを鑑みて、「30年に1回以下の異常気象」と結論付けた[1][2][3]。
豪雨が発生した経緯について、検討会は台風12号や11号および偏西風の影響を挙げている[2]。台風が日本列島へ北上したのち、偏西風が蛇行したことによって前線が日本海側へ停滞する働きが生じた[2]。その後、前線停滞の影響によって南方から暖かく湿った空気の流入が続き、豪雨を呼び込む形になった、と検討会では要因を分析している[2]。さらに偏西風の蛇行要因に関して検討会では、東南アジアや南アジアで例年よりも雲の発生頻度が少なかったことを挙げている[3]。なお気象庁では、「平成26年8月豪雨」の期間を7月30日から8月26日までの期間と定義している[2]。
日照時間の少なさに関しても検討会で触れられ、西日本の太平洋側では平年と比べて54%しかなく統計が始まって以来の最小値を記録していた[3]。さらに検討会は日本海側においても、東日本(関東甲信・北陸・東海地方)では過去4番目に日照時間が少なかったとする統計結果を公表した[3]。
今回の豪雨の影響により、広島市では8月19日の夜から20日の明け方にかけて集中豪雨による土砂災害が発生しており、70人以上が亡くなる大規模な自然災害につながった経緯がある[3]。検討会の木本会長は豪雨の発生について「原因となった大気の流れは珍しくない。」と語り、今回のみの特異現象ではなく再現性は十分にありうることを表したうえで、木本会長は続けて「近い将来にまた豪雨災害が起こる可能性がある」と言葉を重ね、自然災害への懸念を表した[2]。木本会長は気象の検知精度についても触れ、積乱雲の急発達に関しては「気象庁の現在の技術では予測できない」と技術限界があることを述べた[2]。災害の対策としては、大雨注意報・警報や土砂災害警戒情報などの警告情報を回避行動に活かしてほしいと木本会長は語った[2]。
情報源
編集ウィキニュース関連記事
編集- 広島市内でゲリラ豪雨 土砂災害相次ぐ(2014年8月20日)
- 気象庁、今夏の豪雨を「平成26年8月豪雨」と命名(2014年8月23日)
- 北海道の北部に記録的豪雨 礼文島で土砂崩れ発生 2人死亡(2014年8月25日)
外部リンク
編集- 『異常気象分析検討会(平成26年度 検討会(臨時会))』 — 気象庁, 2014年9月4日
- 『異常気象分析検討会 - 気象庁』 — 気象庁,