2014年度ノーベル平和賞 マララさんが史上最年少17歳での栄誉
【2014年10月11日】
ノルウェーのノーベル賞委員会は現地10月10日(UTC+1)、2014年度ノーベル平和賞の受賞者を、パキスタンで女性や子供の教育を受ける権利を訴えたマララ・ユスフザイさん(17)と、インドの児童労働問題に取り組むカイラシュ・サトヤルティ氏(60)の2人に贈呈することを決めた。このうち、マララさんはノーベル6賞を通して史上最年少の17歳でのノーベル賞獲得が決まった[1]。
本年度のノーベル平和賞にはこれまでで最高の278の個人・団体からノミネート(推薦)があった。ノルウェーノーベル賞委員会のヤーグラン委員長は、貧困国の人口の6割が25歳以下の若年層であることを踏まえ「子供や若者の権利が尊重されることは、世界平和と発展のための前提条件だ。特に紛争に苦しむ地域では、子供たちの権利を侵害することで、暴力が世代から世代に継続される」と指摘し、その上で、「ヒンズー教徒とイスラム教徒、インド人とパキスタン人が、ともに教育のために過激主義と闘っている点を重視した」ことをマララさんとサティアルティ氏に対して同時贈呈することについて説明した[2]。
マララさんは、11歳のころから、イギリス・BBC放送のブログへの投稿を始めて、パキスタンタリバン運動の実効支配化におかれた学校などの実情を告発した。この後パキスタンタリバン運動から殺害の脅迫を受け、2012年には銃撃も受けたが、イギリスの病院で一命をとりとめ、2013年から人権活動を開始。2013年7月には「私たちの最も強力な武器である、本とペンを持とう」と国連本部でスピーチを行った他、ヨルダンに逃れたシリア難民や、教育を持たずに結婚したナイジェリアの女性らを支援する「マララ基金」を設立した。マララさんのノーベル賞受賞は、1915年に物理学賞を獲得したローレンス・ブラッグ氏の25歳を大きく下回り、1901年にノーベル賞の表彰を開始して以来の史上最年少であるとともに、史上初の未成年者のノーベル賞獲得ともなった[3]。
サティアルティ氏は、親の借金と引き換えに製造工場の現場で奴隷的に働かされる約8万人の子供たちを救出し、1998年には世界各地で児童搾取に反対する約700万人規模に及ぶ大行進を行ったほか、2000年には児童の奴隷的労働を禁止する「新児童労働条約」の発効に尽力した[3]。サティアルティ氏の説明では、現在もインドで6000万人の子供が強制的に労働されているが、児童の人身売買や強制労働にかかわる業者が罪に問われるのは数%の確率にしか過ぎないとしている[2]。
表彰式は12月10日にオスロの市庁舎で行われ、平和賞を獲得した2人に対して合計で800万スウェーデンクローナが賞金として贈呈される[2]。
情報源
編集- ↑ オスロ=石川保典 『マララさんら平和賞 ノーベル賞、最年少17歳』 — 中日新聞, 2014年10月11日
- ↑ 2.0 2.1 2.2 ロンドン・小倉孝保 『ノーベル賞:平和賞は17歳マララさんら2人』 — 毎日新聞, 2014年10月11日
- ↑ 3.0 3.1 オスロ=柳沢亨之 『ノーベル平和賞、マララさんとサティアルティ氏』 — 読売新聞, 2014年10月11日