1999年の福岡空港変死体事件で、中国側が独自に死刑判決

【2012年2月4日】

1999年に中国人女性の変死体が発見された福岡空港(写真は第3ターミナル)

毎日新聞読売新聞によると、福岡空港福岡市博多区)で1999年UTC+9)に、中国人女性の変死体が発見された事件で、福岡県警が別の詐欺容疑で逮捕を取り指名手配していた中国人の男(43歳)が、帰国後に中国の公安当局に身柄拘束され、同国の裁判所において、女性を殺害した罪で執行猶予付きの死刑判決を言い渡されていたことが、捜査関係者への取材で判明した。

毎日新聞によると、同県警は、中国の捜査当局側に対し証拠資料を送付しておらず、専門家は、中国側が男の自白を基に死刑判決を下した可能性があると判断している。日本国内で起きた犯罪が、捜査協力の無いまま海外で裁かれるのは極めて異例という。また、読売新聞によれば、中国では死刑に執行猶予が付くケースもあり、服役態度が良い場合は減刑されることもあるが、男に対し死刑が執行されたかは不明で、同県警は、女性の遺留品などの証拠品を保管しており、現在も逮捕状の更新を継続している。

読売新聞によると、事件は1999年6月25日に発覚したもので、同空港敷地内の緑地において、中国・遼寧省出身で同区在住のアルバイト店員・宗暁艶さんの変死体が発見された。その後の同県警の捜査で、宗さんの交際相手で同市内の大学院に通学していた男が、同年3月に中国に帰国していたことが判明。宗さんのアルバイト先から約360万円を騙し取った容疑で、同県警は同年7月に詐欺容疑で男の逮捕状を取った。同県警は、この男が宗さんの変死にも関与した疑いがあると見ていた。

毎日新聞によると、日中間では逃亡犯罪人の身柄引き渡し条約が締結されていないため、同県警は、中国において男が身柄拘束された場合、女性が死亡した経緯について同国公安当局の協力を得た上で事情聴取する目的で、中国当局に対し捜査協力を要請。しかし、中国側からの連絡は無く、同県警は2005年12月に、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて、同国側が男を拘束し、中国の裁判所が女性を殺害した罪で、2002年12月に執行猶予2年付きの死刑判決を言い渡していたことを知ったとしている。海外で重大犯罪を引き起こした国民への刑事処分を定めた、同国刑法の「国外犯規定」に基づいているとされる。同県警は、ICPO経由で同国に対し刑の執行状況を照会しているが、未だに回答は無いという。

読売新聞によると、日中間では2008年11月に、捜査当局の相互間で犯罪捜査の情報交換などを実施可能とする日中刑事共助条約が発効しているが、捜査関係者によると、事件当時はこうした環境が整備されていなかったため、同県警は中国当局に対し証拠資料などを送付しておらず、いかなる証拠を基にして犯罪の事実認定を行ったのかは不明としている。

毎日新聞によると、同県警幹部は、「日本で起きた事件であり、証拠資料も送付していないのに、中国はどのように犯罪事実を認定したのか。執行状況が分からないのも落ち着かない」と述べている。

毎日新聞が、早稲田大学の小口彦太教授(現代中国法)の話として伝えたところによると、同国では、執行猶予付きの死刑判決は、猶予期間中に犯罪を起こさなかった場合、無期懲役などに減刑されるという。小口教授は、「日本の警察でも証拠が揃っていない日本国内の事件について、中国の裁判所が判決を出したケースは聞いたことがない。自白に基づき犯罪事実を認定した可能性が高い。(同国は)秘密主義のため、執行状況については(今後とも)回答しないだろう」としている。

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