雌の乗用馬ユニックが36歳で亡くなる - 1991年石川国体や1994年愛知国体の障害馬術競技で活躍。マリージョイに並ぶ長寿馬生を全う。
【2014年11月29日】
11月25日、石川県金沢市にある石川県馬事公苑で、雌の乗用馬であるユニックが老衰により、36歳という高齢で亡くなった[1][2][3]。石川県馬事振興協会によれば、2014年11月25日時点で存命していた馬のなかで、ユニックは日本国内における最高齢馬であったと目されている。36歳という馬齢を人間年齢で換算した場合、140歳に及ぶほどの高齢であるという[3]。
ユニックは11月24日の朝に座り込んだきり立ち上がれなくなってしまい[2]、翌25日の午前3時半ごろに息を引き取ったという[2]。石川県内はもとより、県外からもユニックの弔問客が駆け付けた[2]。ユニックの馬房の前には祭壇が設けられ、リンゴやニンジンなどのお供え物が弔問客により捧げられ、ユニックを弔った[2]。
ユニックは「ダッチブレッド[注釈 1]」の品種として[1]、1978年にオランダで生まれた[1][3]。1990年に石川県が障害馬術の競技馬として石川国体へ出場させることを目指し、大阪府の乗馬クラブよりユニックが購入された[2]。以後は石川県馬事公苑でユニックは馬生を過ごすことになる[1]。
1991年に行われた石川国体で、ユニックは「障害飛越競技」へ出場した4種目すべてにおいて入賞してみせ、ユニックは石川県の総合優勝に尽力した。1994年の愛知国体では、成年1部の「トップスコア競技」でユニックは優勝を果たした。馬術競技での活躍が認められ、1996年には日本馬術連盟から「功労馬」として表彰されている[2]。
ユニックは馬術競技から引退したのち、乗馬の練習馬として第2の馬生を過ごす[1][3]。またユニックは「ホースセラピー」の馬としても自身の魅力を如何なく発揮して、人にやさしく寄り添いつつ馬生を全うした[1][3]。現在金沢大学の馬術部コーチであり、前述の愛知国体で選手としてユニックと共に競技へ臨んだ経験を持つ橘裕司氏(53)はユニックについて「素質が高く、これまでの競技人生の中でもピカイチの馬だった」と競技馬時代の実力を高く評価した[2]。石川県馬事振興協会の事務局長を務める箸本芳夫氏(66[2])はユニックの性格について「普通、競技馬は繊細で荒っぽいところがあるが、ユニックはとてもおとなしい馬だった」と語る[2]。さらに箸本氏は「自閉症の子どもたちがユニックと触れ合って元気になった」と、ユニックがホースセラピーとして人に寄り添っていた時の思い出を語り、ユニックを偲んだ[3]。
日本国内における高齢馬の馬生を探ると、アングロアラブの牝馬として生まれ、平地競走の競走馬として過ごした「マリージョイ」が37歳5か月に及ぶ馬生を生き抜いた記録がある[4]。マリージョイもまたユニックと同様に、国体を始めとする馬術競技会に出場して活躍した経歴を持つ[4]。
マリージョイの他には、名馬として現代でも名高い「シンザン」が、「サラブレッドとして最長寿」の35歳3カ月11日を生き抜いた記録がある[5]。今年2014年に入ってきたニュースとして、「サラブレッドとして最長寿」であるシンザンの記録を超えた「シャルロット」が、現在も存命中であるとの情報もある[5]。
地球規模で「最高馬齢」馬を辿ると、イギリスのランカシャー州で、62年もの長き馬生を誇る「オールド・ビリー(en:Old Billy)」が存在する。「オールド・ビリー」は1822年11月27日に亡くなった。「オールド・ビリー」が生きた証として、頭蓋骨がマンチェスター博物館(en:Manchester Museum)へ、頭の剥製がベッドフォード博物館(en:The Higgins Art Gallery & Museum)へ、それぞれ収集・展示されている[6]。
注釈
編集- ↑ 「ダッチブレッド」種は「オランダ温血種(en:Dutch Warmblood)」に該当すると推定される。
情報源
編集- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 小室亜希子 『ユニック号 天国へ 国体V 人間なら100歳超』 — 中日新聞, 2014年11月26日
- ↑ 2.00 2.01 2.02 2.03 2.04 2.05 2.06 2.07 2.08 2.09 『36歳の国内最高齢馬死ぬ 石川国体で活躍のユニック号』 — 北國新聞, 2014年11月26日
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 『国内最高齢?36歳馬死ぬ…自閉症児と触れ合い』 — 読売新聞, 2014年11月25日
- ↑ 4.0 4.1 『愛馬マリージョイ 37年の生涯』 — 幻冬舎,
- ↑ 5.0 5.1 『シンザン超え国内最長寿に 61戦2勝のサラブレッド「シャルロット」』 — 産経新聞, 2014年8月29日
- ↑ Helen Lawson 『World's oldest horse trots his final furlong: Irish draught Shayne, 51, put to sleep at Essex sanctuary after reaching 120 in human years』 — デイリー・メール, (公開:2013年3月6日)(更新:2014年10月29日) ※記事中盤の青枠で囲まれた「THE OLDEST HORSE ON RECORD」節にて、「Old Billy」についての記述が記されている。