遺跡発掘調査の29事業で補助金不正受給、19自治体が返還

【2010年8月14日】

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毎日新聞朝日新聞によると、補助金を受けた地方自治体遺跡発掘事業のうち、文化庁2010年UTC+9)度までの6年間で、うち29事業について「補助金の不正受給があった」と認定していたことが判明した。

毎日新聞によると、不正の手口は、未発行の調査報告書を「作成した」とする架空請求や、人件費の水増し請求など。朝日新聞によれば、文化庁は事業を実施した217市町村(当時)に対し、補助金約1,023万円の返還を求めた。両報道によると、いずれの自治体とも、不正を認め返還(朝日によれば1,023万円)したという。

毎日新聞によると、地方自治体が実施する遺跡発掘事業に対する国からの補助金は、事業を完了させた自治体が文化庁に対し申請。「現地での発掘調査作業に要する経費」、「出土品の整理作業経費」、「発掘調査報告書作成費」などが補助対象であり、認められた場合、調査の翌年度に補助金を支出する。

朝日新聞によると、不正受給が発覚したのは、愛知三重の2県と、岩手県長野県静岡県奈良県京都府鳥取県熊本県長崎県宮崎県沖縄県内の17市町村。

毎日新聞によると、不正を指摘された29事業のうち、最も多かったのが「発掘調査報告書作成費」に伴う補助金で、15事業(鳥取県大山町、沖縄県竹富町など10市町村が実施)が返還対象となった。発掘調査報告書は、出土品など発掘の成果をまとめ上げたもので、遺跡の大半は土地の開発などで消失するため、それらの存在を後世に伝える役割を担う。指摘された15事業は、報告書作成を怠っていたにもかかわらず、発刊したように装うことで、作成費を不正に受給していた。中には、報告書の印刷業務を行っていない印刷業者に金のみ預け、「国に提出する上で必要」として請求書納品書を要請し、でっち上げた書類を国に提出し、報告書が作成されたよう装うケースもあった。また、朝日新聞によれば、発掘調査や遺物整理に従事した人の賃金を、その勤務日数を水増しすることで過大に請求したり、市が負担すべき発掘調査に補助金を流用したりしたケース、補助金の対象外の消耗品を購入したにもかかわらず、調査資料を整理するための消耗品を購入したと虚偽の報告を行ったケース、及び補助金の対象外の業務についての旅費を計上していたケースも判明した。

両報道によると、 文化庁の話では、現在のところ、これらの補助金の私的流用は確認されていないという。

毎日新聞によると、文化庁伝統文化課は、「補助金のやり取りは書類上で行うので、全てチェックするのは困難な部分があった」とコメントしている。

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