過払い金返還訴訟で、担当裁判官が「司法ファッショ」などと発言 - 返還命じる判決相次ぎ

【2010年6月18日】

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読売新聞毎日新聞によると、利息制限法の上限金利(年15~20%)と、出資法の上限金利(年29.2%)の間の、いわゆる「グレーゾーン金利」で支払った利息について「過払い金」として返還するよう貸金業者に命じる判決が、2005年UTC+9)の最高裁判決以降日本全国で急増したことに関して、神戸地裁支部の山本善平裁判官が、自らが担当した返還訴訟判決の中で「異常事態」とか「司法ファッショと批判されかねない」などと発言し批判していたことが判明した。

読売新聞によると、原告の兵庫県在住の女性は、東京都の大手消費者金融会社との間で借り入れと返済とを繰り返していたが、金利がグレーゾーン金利であることを知り、過払い金235万円の返還と利息5%の支払いを求め、2009年9月に同支部に提訴した。

読売新聞によると、貸金業界に於いては、貸金業法のみなし弁済規定を根拠として、グレーゾーン金利で営業し利益を得ていた業者がかなり多く存在したが、最高裁は2005年12月から2006年1月にかけ、この規定の適用条件を厳格に解釈する判決を相次いで言い渡した。また、2007年7月には、この規定が適用されないのを知りつつ高金利を取った業者に対し、利息を付けて過払い金を返すことも命じ、全国の地裁に於いて同様の判決が相次いで出された。

読売新聞によると、山本裁判官は2010年3月の判決公判で、過払い金の一部である118万円については返還を認めたものの、利息の請求については「被告のような大手が要件を順守した上でみなし弁済の適用を目指したのは当然」、また、毎日新聞によれば、「被告は悪意の受益者ではない」として請求を棄却した。

読売新聞によると、その上で、最近の傾向に言及し、「下級審が(最高裁判決に対し)些か過剰反応している」と指摘し、さらに「法律がみなし弁済の可能性を容認しているのにもかかわらず、司法が要件を極端に厳格に設定して、(みなし弁済規定を)事実上葬り去るのは異常事態であり、司法ファッショと批判されかねない」と述べた。女性は判決を不服として大阪高裁控訴した。

毎日新聞によると、グレーゾーン金利問題に造詣が深い日弁連消費者問題対策委員会の山崎省吾弁護士兵庫県弁護士会)は、「時代の流れに逆行した判決だ。最高裁判例は、長年議論されてきた利息制限法と貸金業法との間の齟齬について『みなし弁済規定はほぼ無意味だ』と宣言したものだ。今回の判決は高裁や最高裁で破棄されるべき内容だ」とコメントしている。

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