訃報 北林谷栄さん - 日本を代表するおばあさん女優

【2010年5月8日】 朝日新聞によると、映画舞台でおばあさん役を数多くこなし、劇団民芸旗揚げ時からのメンバーの一人だった女優北林谷栄さん(きたばやし・たにえ 本名・安藤令子=あんどう・れいこ)が4月27日(UTC+9)、肺炎のため東京都内病院で死去したことがわかった。98歳。東京都出身。

朝日新聞によると、北林さんは1935年に創作座の一員として芸能界入り。戦後は宇野重吉滝沢修の各氏らとともに「民衆芸術劇場」を結成。これが解散した後「劇団民芸」を立ち上げて活躍。「泰山木の木の下で」において原爆の後遺症を恐れる妊婦を違法に堕胎させるハナさんの役柄を1963年の初演から40年・450回以上にわたり演じてきた。これが評価され「紀伊国屋演劇賞(1972年・個人賞)」を受賞。また老人と死をテーマにした数多くの脚本も手がけている。またスポーツ報知によると、1991年には映画・「大誘拐」で日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞を80歳という最高齢受賞も達成した。

スポーツ報知によると、北林さんは20代からおばあさんの役をずっと演じ続けたという。生前に北林さんにインタビューしたところ、北林さんが初めて老け役をしたのは26歳。舞台で80歳の老女役をしたのが最初だという。生後すぐに母親を亡くし、祖母に育てられた環境もあって、老人の物言いや物腰を知り尽くしていたことで抜擢されたという。当初は目に絆創膏を貼ってみたり、お歯黒で葉をつぶして扮装するなど苦労を重ねたが、50代以後はその苦労が無くなり、役作りのために前歯を抜き取ったこともあったという。2003年に上演された「泰山木の木の下で」の舞台の翌月(4月)に開催されたトークショーでの出演が公の最後の舞台となった。

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