訃報 ジョン・ケネス・ガルブレイス氏

【2006年5月4日】

毎日新聞によると、経済学者で『不確実性の時代』の著者として知られるジョン・ケネス・ガルブレイス氏が2006年4月29日アメリカ合衆国マサチューセッツ州ケンブリッジ(ロイターによる)の病院で死去した。97歳だった。日本経済新聞は老衰によるとしているが、 ガーディアン紙によると死因は肺炎から来る合併症としている。

ガーディアンによると、イギリスブラウン蔵相は、5月1日「ガルブレイス氏は立派な経済学者でありイギリスの偉大な友人であり、氏の著作は、これから幾世代にもわたって広く読まれるであろう」と賛辞を送った。また、「私達に適時に助言してくれて、氏が博識で、判断力に富み、雄弁で、特に我々の世代に対する経済的な洞察力は記憶されてゆくだろう。」とも語っている。

ガルブレイス氏はカナダで生まれ、1930年代にアメリカ合衆国に移住し、カリフォルニア大学で博士号を取得し、1937年にアメリカ合衆国市民権を得た。ケインズ経済学の継承者で、1940年代ルーズベルト大統領の下で働いた。その後もクリントン大統領まで民主党大統領の下で助言を行った。

経済の難しい問題を分かり易く分析するのが得意であると言われた。1958年に発表した『豊かな社会』では、消費中心の社会に警鐘を鳴らし公共サービス拡大を訴えた。1977年の『不確実性の時代』では、巨大企業、大都市化、途上国の貧困などの問題を指摘した。

ヴェトナム戦争や1990年代の株式バブル、イラク戦争を批判し、経済学以外の分野でも積極的に発言を行った。1960年から63年にかけて、米国のインド大使を務めた。日経によれば、2000年に自由勲章を受章した。

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