菊花賞の第76回を制したのは北島三郎の持ち馬キタサンブラック、「まつり」も熱唱される
【2015年10月29日】
2015年10月25日(日)に京都競馬場の第11競走(15時40分発走)で「第76回菊花賞」が行われ、単勝5番人気(13.4倍)の「キタサンブラック」が勝利した[1]。勝利賞金は1億1200万円[1]。騎手は北村宏司、調教師は清水久詞、馬主は(有)大野商事、生産牧場はヤナガワ牧場[1]。北村騎手ならびに清水調教師は今回が初めての菊花賞制覇となる[1]。
第76回菊花賞の模様
編集JRAがまとめた10月19日時点での競走前のプレ・レーティングでは、サトノラーゼンが117の評価、リアルスティールが116の評価、次いでリアファルが114の評価、そしてキタサンブラックはブライトエンブレムと並ぶ112の評価で並んでおり、ライバル馬の方が実力上位として見られていた[2]。これまでの戦績のみならず、キタサンブラック自身に対してもサクラバクシンオーの血を受け継いでいることもあり、菊花賞のような長丁場の競走で走りを保ちきれるのかどうかという声も関係者間では実際にあったという[3]。しかし清水調教師はかねてから「体つきや身のこなしは長距離向きでしたし、その評価を覆してやろうと思っていました。」とキタサンブラックがステイヤーとして備えた素質を見出していた[3]。今回の菊花賞によってキタサンブラックは秘めた才能を大一番で菊のごとく開花させることに成功し、清水調教師の溜飲を下げた[3]。
今回キタサンブラックによる勝利をことのほか喜んだのが、馬主であり歌手でもある北島三郎である。「直線は声が出ましたし、ゴールのときには万歳をして、涙が出ました。」と一喜一憂を語り、「もうすぐ80歳になりますが、こんなに感動したことはありません。」とあらん限りの感激を表した[3]。今回の勝利に際して、北島はサプライズとして「まつり」を集まったファンに向けてウィナーズサークルで熱唱、「競馬のまつり」と即興のアレンジも交えファンに応えてみせた[4]。北島はかねてから「勝てば歌うよ」と競走前から宣言しており、ファンと結んだ「公約」を今回見事に果たした[4]。ファンのみならず、生産牧場であるヤナガワ牧場の会長を務め、北島とは50年におよぶ長い付き合いもある梁川正克も「菊花賞」と「まつり」がもたらした熱気に浸り、「G1の口取りで紅白の手綱を取ってもらうのが夢で、それがやっとかないました」と長年の宿願が叶ったことを喜んだ[5]。
今回北島のサプライズはネット上でも好意的に迎えられ評判もおおむね上々であるとSponichi Annexでは報道されているが、この流れが「北島三郎のNHK紅白歌合戦への復帰」にまで結びつくこともありえるのではないか、という展望がSponichi Annexにて記事としてアップされている[6]。紅白歌合戦を放映しているNHKは、今回の菊花賞も競走を放映しており、その縁を活用してゲストといった形でも北島の紅白復帰にまで結びつけてみせる可能性がある、というのがSponichi Annexの展望である[6]。なお北島自身の意向としては2013年に自ら望んで紅白を離れたのち時期がさほど経過していないこともあって、時期尚早として紅白への復帰は固辞しているという[6]。よって今回のSponichi Annexの記事においても「もしかしたら」という水準の話題として扱われてはいるが、NHK側としては紅白に話題性を持たせるためにも今後も北島へ出演を働きかける意向があるという[6]。
今回の菊花賞には5万2689人が京都競馬場を訪れた[7]。今回の菊花賞について、戦評を記した谷川善久は「『まつり』の熱唱に包まれて、激闘は大団円を迎えたのだった。」と結んだ[1]。
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1周目ゴール板前の周回状況 CC BY-SA 4.0
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2周目ゴール前の競り合い状況 CC BY-SA 4.0
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第76回菊花賞の優勝旗 CC BY-SA 4.0
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馬着を着装した勝利馬キタサンブラック CC BY-SA 4.0
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表彰式では菊の花が贈呈された CC BY-SA 4.0
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北島三郎には金杯も贈呈された CC BY-SA 4.0
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勝利騎手の北村宏司には優勝旗が授与された CC BY-SA 4.0
菊花賞に伴うイベント
編集今回の菊花賞に伴い、京都競馬場では様々なイベントも併せて実施された。菊花賞のパドックでは「ベストターンドアウト賞」の審査が行われ、ブライトエンブレムと本田達厩務員の人馬が選出された[8]。本田厩務員は受賞理由について、今回の菊花賞で栗東への滞在が2度目になることで、余裕を持ってブライトエンブレムの仕上げにあたることが出来たのが受賞要因の一つになったと語った[8]。なお今回の「ベストターンドアウト賞」は奈良国立博物館長を務める湯山賢一、京都嵯峨芸術大学の芸術学部教授や大学院教授を務める佐々木正子、元JRA調教師である領家政蔵の3名が審査にあたった[8]。
京都競馬場は今年で開設90周年ということで、「あなたの最高のレースと馬を選ぼう! Memories of Kyoto Race Course」と銘打ち、京都競馬場で過去に実施されたレースの人気投票が行われ、京都競馬場内で結果が開示された[9]。さらに菊花賞当日の25日にはクイックピック投票券による「おみくじ馬券」の販売が企画された[9]。
菊花賞当日の25日には、通常行われている「体験乗馬」や「ポニーの試乗会」の時間と定員数の拡大版が企画された[9]。さらには馬事アトラクションも企画され、一切の道具を用いずに人馬で演技を行う「ファンタジックホースショー」やミニチュアホースによる「ミニチュアホースジャンプ」、「ロングレーン(長手綱)」による馬術の披露が企画された[9]。ほかにも、横浜市にある馬事文化財団からは野間馬の「ミカン」と北海道和種(道産子)の「ゆき」が京都競馬場へ訪れるという競馬ファンとの交流が企画された。在来馬の保存を目的としたチャリティー募金も同時に企画された[9]。
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ステーションゲート前には過去のレースの人気投票結果が掲示された CC BY-SA 4.0
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横浜市の馬事文化財団からは、道産子の「ゆき」が交流に訪れた CC BY-SA 4.0
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さらには野間馬の「ミカン」も交流に訪れた CC BY-SA 4.0
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乗馬を務めるマイネルデスポットは、過去の菊花賞2着の実績がある CC BY-SA 4.0
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菊花賞にあわせ「おみくじ馬券」も販売された CC BY-SA 4.0
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「ファンタジックホースショー」の一幕 CC BY-SA 4.0
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ミニチュアホースのピノ号が障害跳躍に挑む CC BY-SA 4.0
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もう一頭のラッキー号も障害跳躍に挑む CC BY-SA 4.0
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「ロングレーン」による実演の一幕 CC BY-SA 4.0
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見事なクールベット(立ち上がり)を披露した CC BY-SA 4.0
「菊花賞に伴うイベント」にて掲載されている画像のうち、誘導馬や乗馬に関する情報は、情報源の「京都競馬場 - 誘導馬紹介」に基づく[10]。
情報源
編集- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 谷川善久 『第76回 菊花賞』 — 日本中央競馬会,
- ↑ 『菊花賞 プレ・レーティング』 — 日本中央競馬会, 2015年10月19日
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 『【菊花賞】(京都)~キタサンブラックがクビ差制してGI初制覇』 — 日経ラジオ社, 2015年10月25日
- ↑ 4.0 4.1 『【菊花賞】ブラック大輪 初G1サブちゃん、トリは熱唱まつり』 — スポーツニッポン, 2015年10月26日
- ↑ 『【菊花賞】キタサンブラック生産・梁川氏 夢の紅白手綱に感無量』 — スポーツニッポン, 2015年10月26日
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 『サブちゃん 紅白復帰あるかも!ゲスト枠を用意』 — スポーツニッポン, 2015年10月26日
- ↑ 『【菊花賞】売り上げ前年比アップ、入場者数はダウン』 — スポーツニッポン, 2015年10月26日
- ↑ 8.0 8.1 8.2 『【今日の出来事】松若騎手が第3回新潟競馬リーディングに輝く』 — UMAJIN, 2015年10月25日
- ↑ 9.0 9.1 9.2 9.3 9.4 『大輪は一番最後に、開花する。【第4回京都競馬開催日イベント】』 — 日本中央競馬会,
- ↑ 『京都競馬場 - 誘導馬紹介』 — 日本中央競馬会,
外部リンク
編集- 『2015 菊花賞 - youtube動画』 — 日本中央競馬会, 2015年10月27日
- 公益財団法人 - 馬事文化財団