立山連峰の3ヶ所の氷体が日本初の「氷河」に認定
【2012年4月6日】
富山県の北アルプス・立山連峰で確認された氷の塊(氷体)について、日本雪氷学会(事務局所在地:東京都千代田区)は4月4日(UTC+9)までに、これらが日本国内では初となる氷河であると認定した[1]。県が同日に発表した[2]。
同県立山町の立山カルデラ砂防博物館による調査に基づくもので[1][2][3]、5月に刊行される学会誌「雪氷」[注釈 1]に学術論文が掲載される予定[1][2]。
極東地域の氷河はこれまでロシアのカムチャツカ半島が南限とされており[1][2][3]、日本国内には存在しないとされていた[3]が、今回の認定によって富山県が氷河の南限となる[2]。
高山にある、夏でも雪がとけずに残る谷や沢を「雪渓」と呼び、この雪渓の下にある氷体が1年以上にわたって重力の影響で移動し続けることが「氷河」と認められる条件となる[1]。
同博物館は昨年の9月から10月にかけて、剱岳(2999m)付近にある三ノ窓雪渓の氷体(長さ1200m)と小窓雪渓の氷体(長さ900m)を、全地球測位システム(GPS)を用いて調査[2][3]。その結果、約30日間で三ノ窓雪渓では31cm、小窓雪渓では32cmの移動が確認された[2]。また、立山・雄山(3003m)東側に位置する御前沢(ごぜんざわ)雪渓の氷体[注釈 2]でも、2010年に行われた調査で約50日間で7-9cmの移動が確認された[2]。
博物館では、年間で最も積雪の少ない秋の調査でも氷体が大きく移動していることが確認されたため、一年を通して移動し続ける氷河である可能性が極めて高いとする調査結果をまとめた学術論文を学会に提出。学会で専門家によるデータ検証が行われた結果、信憑性があると認められたため同論文を受理し、学会誌に正式に掲載することが決まった。学会誌の編集委員長を務める石本敬志氏は、GPSなど最新の機器を用いて詳細なデータを得られたことが受理する決め手になったといい、「氷体の動きについて具体的な調査を行っており、研究的な価値が高い」と述べている[2]。
3つの氷体はそれぞれ別々の氷河として扱われる見通し。調査を行った同博物館の福井幸太郎氏は「氷河であると認められてとても嬉しい。立山連峰にはほかにも氷河の候補が存在するのでさらなる調査を行いたい」と話している[1]。
注釈
編集情報源
編集本ニュースは「時事通信」「北日本新聞」および「読売新聞」の以下の報道を情報源としている。