福岡航空交通管制部、中学生に航空機と交信させる

【2010年10月13日】

朝日新聞によると、国土交通省は、福岡航空交通管制部福岡市東区)の管制官が、職場体験中の中学生2人に対し、内規に反する形で、飛行中の航空機2機と無線交信させていたと、10月12日UTC+9)に発表した。

読売新聞によると、これらの2機は、乗客・乗員計500人以上を乗せ、高度約5,100メートルを飛行中だったという。また、当該の管制官の上司に当たる先任管制官が、この事実を把握しながら、中学生らに対し口止めしていたことも判明しており、同省は、国家公務員法で禁じられている「信用失墜行為」に該当する可能性もあると見て、関係者の処分を検討すると共に、日本全国で同様の事案が発生していないか調査を開始することにしている。

朝日新聞が同省の話として伝えたところによると、同管制部では、10月5日から7日にかけ、職場体験実習として、福岡県内の中学生2人を受け入れた。この間、6日午前10時44分頃と同46分頃、羽田から福岡に向かっていた日本航空機(読売報道では315便、乗客・乗員387人)とスカイマーク機(読売報道では7便、乗員・乗客177人)に対し、交信先を同管制部から福岡空港の管制官に切り替えるよう指示することになったが、この際、同管制部の50歳代の男性管制官ら3人が、中学生に対し、2機の便名と「コンタクト福岡アプローチ、(周波数)119.65」と片仮名書きの英語で記した手書きのメモを渡し、2機の操縦士に対し、それぞれ英語で呼び掛けさせた模様である。2機の操縦士は、相手が中学生であることに気付かないまま、指示を復唱していた。他の航空機の運航への影響は無かった模様である。

朝日新聞によると、その後、3人の管制官の上司に当たる50歳代の先任管制官ら2人は、同日昼頃に、当該の中学生から無線交信した事実を聞いたものの、中学生に対し「口外しないように」と口止め。体験学習の受け入れを担当した同管制部の職員も、翌7日朝に、中学生に対し、口外しないよう再度伝えた模様である。ところが、同日午後になって、当該の中学生が、同管制部の庁舎内で行われた体験学習の報告会で、「口外しないよう言われたが、嬉しかったので、もう一度お礼が言いたい」と話し、このことを知った先任管制官が、8日になって、同管制部の幹部と国交省に対し経緯を報告した。

朝日新聞によると、先任管制官は、同管制部の調査に対し、経緯を報告しなかったことについて、「中学生から聞いて驚き、大変なことになったと思ったため」と述べている模様である。

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