消費税増税も検討、少子化対策財源に 甘利明前幹事長

【2023年1月7日】

2023年1月5日夜、甘利明自由民主党幹事長はテレビ東京のBS番組「日経ニュース プラス9」に出演し、少子化対策の財源の1つとして将来的に消費税を増税することも検討されるとの考えを示した[1][2][3]。2023年1月4日の年頭記者会見で、岸田文雄首相は「異次元の少子化対策に挑戦する」と発言、6日には小倉将信こども政策担当大臣に対し、今年の3月をめどに政策のたたき台を示すよう指示を出した[4]。岸田首相の発言は、昨年12月16日に「全世代型社会保障構築会議」が出した報告書をうけたもの[3]

同会議は、2021年11月9日から翌2022年12月16日までの間に計12回開かれた[5]。会議の構成員は次の通り[6][7][8]

構成員 秋田喜代美(学習院大学文学部教授)
落合陽一(メディアアーティスト)
笠木映里(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
香取 照幸(上智大学総合人間科学部教授/一般社団法人未来研究所臥龍代表理事)
菊池 馨実(早稲田大学法学学術院教授)
熊谷 亮丸(株式会社大和総研副理事長)
権丈 善一(慶應義塾大学商学部教授)
國土 典宏(国立国際医療研究センター理事長)
清家 篤(日本赤十字社社長/慶應義塾学事顧問、会議座長)
高久 玲音(一橋大学経済学研究科准教授)
武田 洋子(三菱総合研究所研究理事 シンクタンク部門副部門長〈兼〉政策・経済センター長)
田辺 国昭(国立社会保障・人口問題研究所所長)
土居 丈朗(慶應義塾大学経済学部教授)
冨山 和彦(株式会社経営共創基盤 IGPI グループ会長/株式会社日本共創プラットフォーム〈JPiX〉代表取締役社長)
沼尾 波子(東洋大学国際学部国際地域学科教授)
増田 寬也(日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長、会議座長代理)
水島 郁子(大阪大学理事・副学長)
横山 泉(一橋大学大学院経済学研究科准教授)
事務局 鹿沼担当審議官
山崎総括事務局長
大島事務局長(人事異動により後に、中村事務局長に交代)
横幕
阿久澤
田原
相川
池田(総務省)

構成員全員が出席したのは初回と、中間報告のための第5回、報告書とりまとめのための最後の第12回のみで、欠席・途中参加・途中退席は少なくない。

岸田首相の指示は、同こども政策担当相をトップにした関係省庁会議を設置して、今月内に児童手当の拡充など具体策の策定に着手するよう求めるものだという [4]。関係省庁会議は、有識者と厚生労働省などの局長級で構成され、①児童手当など経済支援②学童保育や病児保育、産後ケアなど支援の拡充③仕事と育児の両立支援を含む働き方改革の3つをテーマに議論する[4]

甘利前幹事長は自民党の税制調査会で顧問を務めている[1]。岸田首相はこども予算の倍増を主張しているが、そのためには兆単位での費用が新たに発生する[3]

政府の松野博一官房長官は1月6日の記者会見で「(消費税は)社会保障財源として今後も重要な役割を果たすべきもので、当面触れることは考えていない」と述べ、当面の消費税増税を否定したが、一方で「恒久的な施策には恒久的な財源が必要だ」とも発言、消費税以外の増税や将来的な消費税増税に含みを持たせた[4]鈴木俊一財務相も「甘利先生のご意見」「将来の消費税のあり方について具体的な検討を行っているわけではない」と発言し、閣僚が消費増税発言の火消しに追われている[2][3]

少子化対策は今年4月の統一地方選挙前に具体策が公表される見通しだが、政府は財源負担の問題を選挙後まで封印するものとみられる[4]

情報源

編集
  1. 1.0 1.1 日本経済新聞 『自民党・甘利明氏、少子化対策で消費税率上げも検討対象』 — 日本経済新聞社, 2023年1月6日
  2. 2.0 2.1 東京新聞 TOKYO Web 『「異次元の少子化対策」熱を帯びる財源論議 甘利氏が消費税増税発言、関係閣僚は火消しに躍起』 — 東京新聞社, 2023年1月7日
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 北海道新聞「財源問題 再び焦点に 防衛増税に続き 甘利氏 はや消費増税論」。『北海道新聞社』、2023年1月7日朝刊16版3面。
  4. 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 竹中達哉「少子化対策3月に方針 首相、省庁会議設置を指示」。『北海道新聞社』、2023年1月7日朝刊16版1面。
  5. 内閣官房 『全世代型社会保障構築会議』 — 日本政府,
  6. 全世代型社会保障構築会議報告書
  7. 全世代型社会保障構築会議第2回会議議事録
  8. 全世代型社会保障構築会議第6回会議議事録