松本サリン事件被害者・河野澄子さん死去

【2008年8月7日】

1994年に長野県松本市の住宅街でオウム真理教が起こした松本サリン中毒事件の被害者の一人で、事件後、意識不明になっていた河野澄子さんが、8月5日午前3:04(日本時間 UTC+9)同市内の病院で亡くなった。サリン中毒を原因とする低酸素脳症の呼吸不全が原因だった。60歳。朝日新聞などが伝えた。

松本サリン事件では、1994年6月27日に松本市の住宅街でオウム真理教が猛毒の神経ガスであるサリンを撒き、その結果、19歳から53歳までの7人が死亡し、約600人が重軽傷を負った。朝日新聞によれば、河野澄子さんは、自宅近くの駐車場でサリンを吸い、心肺停止状態となった。その後は低酸素脳症で意識不明の重体が続き、松本市内の障害者支援施設に入所した後も、脳の萎縮(いしゅく)による無呼吸発作や肺炎を患い、入退院を繰り返していた。澄子さんの容態は今年の6月に更に悪化し、入院治療を行っていた。

この事件では、河野さんの夫で、この事件を警察に通報した河野義行さん(58歳)があたかも容疑者であるように伝えた誤報が多く、マスメディアによる人権侵害問題としてクローズアップされた。

毎日新聞によると、義行さんは、澄子さんの訃報に際し報道記者団のインタビューに応え「家族にとって(松本サリン)事件が終わるのは妻(澄子さん)が完治する日か、死亡する日だと思って闘ってきたが、きょうが一段落」と語った。今後については「支えが無くなり自分がどうなってしまうか不安だが、妻が頑張ったのだから私も頑張る」と、講演会などの活動を続けることを明らかにした。

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