最高裁、国外在住日本人に対する選挙権制限に違憲判決

【2005年9月15日】

日本国外に在住の日本人13人が、在外邦人に対する選挙権が制限されていることについて、選挙権を保障した憲法に違反していると、国に対し選挙権を有することの確認と賠償を求めた訴訟で、最高裁判所・大法廷は14日、1998年改正前の公職選挙法と現行公職選挙法の規定は、いずれも憲法違反であるとする判断をした。東京新聞などが報じた。最高裁の裁判官14人(全15人中1人は公選法改正に関与したため回避)のうち、12人が憲法違反の意見を示した。また、原告が精神的苦痛をこうむったとして一人当たり5,000円の賠償の支払いを国に命じた。これに対する賛成は11人であった。

1998年の公選法改正で、衆参両院の比例代表に限り海外在住の有権者も投票可能になったが、衆議院の小選挙区と参議院選挙区に投票できない規定が依然として残っている。一審・二審では原告全面敗訴の判決であったが、最高裁ではこの部分も憲法違反と判断され、原告側の逆転勝訴となった。

違反したとされる憲法の条文は、憲法15条1項、3項、43条1項、44条ただし書。

判決理由では反対意見も示され、国の主権の及ばない地域に居住している有権者の国政参加については国会の裁量に拠るべきであり、実施の困難さを考えれば違憲とは言えない、などとした。また、賠償にのみ反対した意見は、原告の精神的苦痛は国家賠償法による金銭賠償になじまないとした。

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