日本銀行が量的緩和政策を解除

【2006年3月10日】

東京都中央区、日本銀行本店(資料)

3月8日から開かれていた日本銀行の金融政策決定会合で9日、約5年間継続されてきた量的金融緩和政策の解除が賛成多数で決定され、即日実施された。今後しばらくは短期金利をほぼ0%とする「ゼロ金利政策」が継続される。

朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞によると、量的緩和政策は2001年3月に導入された政策で、日本銀行が当座預金残高を増やすことで市場での資金の流通量を増やし、当時のデフレーション傾向をインフレーション傾向に導くほか、景気の回復などを目標としたもの。世界にも前例が無く、異例の政策と呼ばれた。量的緩和の解除について日本銀行は、2003年10月に、前年の同月と比較した消費者物価指数(CPI、価格変動が大きい生鮮食品を除く)が安定してプラスとなることや、再びマイナスに転じないという見込みなどを、条件として示していた。最近の消費者物価指数は4ヶ月連続でプラスとなるなど、条件がそろったことから、今回の解除に至った。

また日本経済新聞によると、量的緩和の解除は即日実施されたものの、実際の当座預金残高の削減は数か月かけて行われ、現在の30-35兆円から、6兆円程度まで削減される。日本銀行の福井俊彦総裁はこの削減について、3か月程度でほぼ完了するとの見方を示した。当座預金残高の削減と同時に「ゼロ金利政策」が継続されるが、日本銀行の福井総裁は10日の衆議院・財務金融委員会で金利をいずれ中立的な水準に戻すという考えを示している。

今回、今後の前年の同月と比較した消費者物価指数をプラス0-2%とする事などの目安も示されたが、朝日新聞によれば政府や与党からはまだ不十分とする声も出ている。また日本経済新聞によると北側一雄国土交通相は、金利上昇が住宅ローン金利に影響するという不安面もあるとしている。

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