広がる鳥インフルエンザ―アジアでとまらず、ヨーロッパでもニワトリから発見

【2005年10月15日】

12日、鳥インフルエンザの発生が確認されたルーマニアの位置
インドネシアの位置、南(図下)はオーストラリア

2003年に報告されて以来、東南アジアを中心に症例が報告されている鳥インフルエンザ(H5N1亜型)は、依然終息する気配がなく現在に至っている。加えて12日、ヨーロッパでも死んだニワトリからウィルスが確認された。

鳥インフルエンザは人から人へは感染しにくいものの、2004年1月以来報告された人の症例の50.9%が死に至っており、致死率が高い。感染機構は完全に解明されてはいないが、中央アジアの野鳥から同型のウィルスが検出されており、野鳥からニワトリ、さらに人へ感染するという説が有力である。このため各国では対応を行っているものの、世界保健機構(WHO)では対策が効果を発揮していないとしている。

以前にもロシアおよびカザフスタンで症例が報告されていたが、12日、ヨーロッパでもトリインフルエンザが報告された。ルーマニアで、トルコの養鶏所で育てられたニワトリが死に、調査の結果、鳥インフルエンザであることが確認された。

報道によると、WHO西太平洋地域事務局の尾身茂事務局長は、ヨーロッパでの鳥インフルエンザ発生の報について、事務局本部のあるマニラで記者会見し、「東南アジア地区でトリインフルエンザを制圧しようと試みたが、すべて失敗してきている」と語った。東南アジアでは2004年以来、60人以上が死亡している。ロイターによれば、WHOは感染地域での医療対策に1億6,000万米ドル(約182億円)、世界食料機構は動物からの感染対策に1億米ドル(約114億円)が必要としている。ロイターによれば、関係者は、衛生条件の悪いカンボジアおよびラオスでの大発生を懸念している。

大韓民国農業省は、14日、鳥インフルエンザ警戒宣言を出した。ロイター通信によれば、渡り鳥の来訪シーズンを控えての警戒宣言という。新華社通信によれば、官民合同の専門家による対策組織をつくり、すでに感染報告のあった養鶏所の監視などを行う。

金色に着色されたH5N1ウィルス。米国疾病対策センター(CDC)による(資料)

インドネシアでは今年に入り5人の感染を確認し、そのうち3人が死亡している。隣国のオーストラリアでは、インドネシアからの感染を警戒しており、インドネシアに対して継続的な支援を行っている。新たに鳥インフルエンザ対策費として1,000万オーストラリアドル(約8億5,800万円)の予算を計上した。そのうちの一部は、インドネシアでの鳥インフルエンザ感染の調査費用に使われる。ジャカルタ・ポストによれば、抗ウイルス剤「タミフル」(一般名・リン酸オセルタミビル)の供与を含め、オーストラリアからインドネシアへの援助は累計で1,550万オーストラリアドル(約13億3,000万円)に上る。

日本経済新聞によると、タミフルはウイルスに耐性ができにくいなどWHOから治療薬として推奨されている。しかし、ベトナムの患者一名からタミフルへの耐性ウイルスが発見されたとする論文が発表され、日本の厚生労働省などが対応を検討している。この論文は今週金曜日発行の雑誌『ネイチャー』10月20日号に掲載された。この論文の研究チームのひとり、ウィスコンシン大学/東京大学の河岡義裕教授は、「この症例は唯一のものであり、独自の条件によるものかどうかはわからない」と語った。

英タイムズによれば、鳥インフルエンザであった場合に備え、ルーマニアでウィルスを疑われていたニワトリが発見された村は閉鎖され、養鶏場のニワトリを殺す措置が取られた。また、鳥インフルエンザ確認の報告を受けて、欧州連合では、同日、食品連鎖・動物衛生常設委員会がブリュッセルで緊急会合を開くとともに、翌14日鳥インフルエンザと渡り鳥に関する専門家の緊急会合を行い、対策を協議した。

英語版ウィキニュースの翻訳を含みます。

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