女性・女系天皇容認へ・政府法案提出の見通し

【2005年10月27日】

現在の天皇・皇后(参考)、アメリカ海軍メディアセンターによる

報道によれば、日本の小泉純一郎総理大臣の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」は25日の会合で、女性天皇や母方のみが天皇家の血を引く女系天皇を認めることを全会一致で決めた。小泉首相はこれを受けて、来年1月からの通常国会に皇室典範改正案を政府が提出する見通しであることを記者団に語った。

女性・女系天皇を認める改正が行われると、現在の天皇の孫娘で皇太子徳仁親王の長女にあたる敬宮愛子内親王が、父親の皇太子に次ぎ皇位継承第2位になる。また父親の身分によらず、愛子内親王の子どもも皇位継承権をもつことになる。日本の歴史上、女性が天皇位につくことはあっても、天皇家の女系の血統だけをひく人物が皇位を継承したことはなかった。

朝日新聞によれば、小泉首相は25日首相官邸で、改正案提出について、「その方向で準備を進めています」と発言した。また自民党の武部勤幹事長も、「結論がえられたことを歓迎します」とのコメントを発表した。

各社報道によれば、「皇室典範に関する有識者会議」は11月中に最終報告をまとめる方針を出している。日本経済新聞や読売新聞は、女性を含めた場合の皇位継承順や皇室の範囲などの具体的な問題が取り上げられるとしている。女性が王位継承権をもつ国では、大別して、出生順による方法と、兄弟姉妹のなかでは男子を優先させる方法のふたつがある。また現在の皇室典範では、皇室の範囲がとくに定められていない。

日本経済新聞などによれば、「皇室典範に関する有識者会議」の吉川弘之座長は、女性・女系を認める理由を「後継者不足」「制度の安定」とした。また朝日新聞によれば、吉川座長は、議論の過程で、旧皇族の復帰や、養子の容認も検討されたが、受け入れられる可能性がないとして排除されたことを明らかにした。皇族の養子縁組は現在は皇室典範で禁止されている。

女性・女系天皇については、保守層に反発があり、反対や慎重な姿勢を求める発言や活動がなされている。朝日新聞は21日、保守系の文化人10人が「皇室典範を考える会」を結成し、男系相続を「有史以来の皇室の伝統」と位置づけ慎重な審議を要求する声明を出したと伝えた。一方、CNNによれば、日本世論調査会が今月初めに実施した世論調査では、「女子が天皇になってもよい」とする意見が84パーセントとなり、これまでの最高を記録した。

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