大阪府、WTC購入は可決も庁舎移転は否決

【2009年10月29日】

大阪ワールドトレードセンタービル (資料写真、GFDL)

大阪日日新聞によると、大阪府府庁舎大阪ワールドトレードセンタービル(WTC)へ移転するための条例案について、大阪府議会は10月27日(UTC+9)開催した本会議で、議員による記名投票を行い、出席議員112人の3分の2の賛成を得られず反対多数(賛成52票:反対60票)で否決された。しかし、大阪府が約85億円を負担してWTCを購入する条例案については経済対策などを盛り込んだ補正予算案とは切り離して採決を行った結果、賛成多数にて可決された。

産経新聞によると、今回の大阪府庁舎の移転問題については、10月26日から大阪府議会各会派で意見の調整が徹夜であり、「WTC購入以外の補正予算案」「WTCを大阪府が購入する案」「大阪府庁の本庁舎の移転条例案」の3つの案を分離採決する形をとった。当初自民党の府議会団を中心に補正予算は賛成するが庁舎移転については審議を行うとして主要会派からの合意は取り付けられたが、購入条件をめぐる付帯決議や申し入れを行うことなどの条件面での折り合いが付かず、妥協点を見出すことができなかった。

読売新聞によると、この結果、当初は先送りにする予定だった移転条例案と購入案を一緒に採決することになったが、共産党府議会団はこれに反対、また自民・民主党のそれぞれの府議会団は自主投票に。更に公明党は会派の拘束をかけなかった。今回の投票においても、自民・民主両党の議員の中にも(庁舎移転に)反対する人もいたため、橋下徹知事の政治力低下は避けられないと報じている。

47NEWSによると、一夜明けた10月28日、橋下知事は「庁舎移転条例案の趣旨に反しない部分はどんどん移す」と、「事実上の庁舎移転」を目指す方針を表明した。これによると「庁舎の位置を定めるためのものであって、実態的な移転とは別。大阪府の部局を全部現在地に置いておく趣旨ではない」と移転を妨げるのではないという認識を示した。どの簿局を移転するかについては今後議会側と協議する。更に庁舎の完全移転の条例が成立しないままで現在ある庁舎とWTCの2箇所の庁舎が並列した場合、数十年後には現在の庁舎の耐震補強をするよりも負担が増えるとしており、「大阪の変化を生じさせるための費用ということであって、大阪府民にWTC先行購入への理解を求める」と話している。

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