国際離婚の日本人女性、日本に長女を連れ帰りアメリカで逮捕される - ハーグ条約締結前に

【2011年10月27日】

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毎日新聞読売新聞によると、アメリカ在住のニカラグア国籍の元(39歳)との国際結婚で生まれた女児(9歳)を無断でアメリカから日本に連れ出したとして、元夫と離婚した日本人女性(43歳。読売報道では兵庫県出身)が、親権妨害容疑でアメリカ・ハワイ州保安局に逮捕され身柄拘束されていたことが判明した。

毎日新聞によると、女性と元夫とは親権を巡り日本で係争中で、外務省の話では、国際結婚した日本人が親権問題で係争中に海外で逮捕されるのは異例という。また、読売新聞によれば、アメリカの裁判所は離婚訴訟で元夫側に長女の親権があると判断したが、日本の裁判所は条件付きで日本人女性側を親権者と認定しており、日米の裁判所で判断が相反しているが、こうした中で、日本がハーグ条約に加盟する前に発生した国際間の親権争いがどう展開するかが注目される。

読売新聞が、日本の裁判における双方の代理人弁護士らの話として伝えたところによると、係争中の男性と女性は2002年結婚したものの、その後2008年2月に、男性がアメリカの裁判所に離婚を申し立て、女性は直後に長女を連れて日本に帰国。アメリカの裁判所は、2009年6月に離婚を認め、長女の親権者は男性であると認定した。

一方、毎日新聞によると、女性は、親権の変更を求め神戸家裁伊丹支部に対し家事審判を申し立て、同支部は2011年3月UTC+9)に女性の側に親権があると認め、元夫と子供に対し、アメリカで年間約30日間面会することを認める審判を下した。双方が即時抗告したため、2011年10月現在、大阪高裁で審理が続いている。

毎日新聞によると、女性は2011年4月7日(現地時間(UTC-9))に、自分の永住権を更新する目的で、アメリカ・ハワイ州ホノルル市に日本から空路で入国したが、父親に無断で子供を日本に連れ出し親権を妨害した容疑で、ウィスコンシン州から親権妨害容疑で逮捕状が発行されており、ハワイ州保安局によって逮捕された。女性は現在も身柄を拘束されたままとなっており、ウィスコンシン州で刑事裁判が続いている。この裁判で検察側は、執行猶予付き判決を条件として、日本で女性の両親と暮らす子供をアメリカに返す内容の司法取引を提示したものの、女性は拒絶し、無罪を主張している模様である。読売新聞によれば、女性は、「帰国時点では離婚訴訟を起こされていることを知らなかった」と主張している。女性は有罪となった場合、最長で12年6ヵ月間に亘り刑務所に収容される可能性がある。

毎日新聞によると、2人の間に生まれた子供は、日本在住の母方の祖父母の下で暮らしており、両親共にに会えない日々が半年以上続いている。元夫側は、「子供をアメリカに返してくれれば拘束は望まない。子供が両親と会える環境にしたい」と訴えている模様で、一方、女性の代理人弁護士は「女性は、子供を一旦アメリカに返せば、帰ってこられなくなるのではと心配している」と述べている模様である。

毎日新聞が厚生労働省の話として伝えたところによると、1992年以降のデータでは、国際結婚は2006年の約4万4,700件をピークに減少に転じており、2010年は約3万200件。その一方で、国際離婚は増加傾向にあり、2009年は最多の約1万9,400件となった。国際離婚には、相手の国籍のある国における法律の違い、子供の国籍や親権、出国などで、日本とは異なる問題が伴う。

毎日新聞によると、棚瀬孝雄中央大学法科大学院教授(専攻:法社会学)は、この件に関して、「ハーグ条約は、原則として子供を取り敢えず元の国に返すことが第一目的であり、民事的な返還手続が優先され、子が返りさえすれば刑事訴追しないことが多い。加盟すれば、逮捕という事態にまで発展するような事案は少なくなると思う」と話している。

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