和田氏の芸術選奨受賞を取り消す

【2006年6月9日】

文部科学省、文化庁の入居するビル(資料)

サンケイスポーツとスポーツニッポンによると、文部科学省は6月5日、洋画家和田義彦氏(66歳)に対する2006年春季の芸術選奨文部科学大臣賞の受賞を取り消したと発表した。5日、文化庁が開いた同賞の審査会が「盗作」と判断したことを受けた。

和田氏の作品がイタリア人のアルベルト・スギ氏(77歳)の作品とよく似ている、盗作ではないかとの匿名の投書が、美術館などに2005年12月届いた。朝日新聞によれば芸術選奨文部科学大臣賞の受賞公表のあとにも、文化庁などに同様の投書があった。このことから、文化庁は調査を行い、6月5日に芸術選奨の選考委員会を再度開催した。委員会は和田氏とスギ氏の作品23点が酷似していると判断した。芸術選奨は1951年から毎年表彰されているが、受賞取り消しは創設以来初のケースとなった。

朝日によれば、和田氏は、盗作ではなく、共同製作でありオマージュであるとしている。これに対しスギ氏は、「盗作だ」と答えている。

なおスポニチによると、和田氏はこれに先だって6月4日に文化庁に対し受賞返上を申し出たが、返上の形では「受賞実績が残ってしまう」として返上は認められなかった。またスポニチによると、2002年に和田氏に贈賞された損保ジャパン美術財団(当時、安田火災美術財団)主催の「東郷青児美術館大賞」についても、同様の理由で受賞取り消しにした。

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