仙台の赤ちゃん誘拐事件、犯人の夫婦ら3人逮捕

【2006年1月9日】

中国新聞の1月9日の報道によると、仙台市の「光が丘スペルマン病院」で1月6日未明、生後間もない赤ちゃんを何者かが身代金目的で誘拐した事件で、宮城県警察本部・仙台東警察署は1月8日、身代金目的誘拐容疑で事情聴取していた宮城県七ヶ浜町に住む衣料品販売業の夫妻ら3人を逮捕した。

逮捕されたのは七ヶ浜町在住の根本信安(54歳)とその妻でフィリピン人の根本カルメンシータ・プラデハス(35歳)、並びに根本夫妻の知人で仙台市宮城野区在住の会社員・佐藤和美(32歳)の3容疑者である。

事件は1月6日午前3時40分ごろ、宮城野区の光が丘スペルマン病院で、何者かが3階の病室で「火事だ」と叫んで侵入し、同病院近郊に住む山田斉さん(27歳)の長男で生後間もない柊羽(しゅう)君を誘拐したというもの。翌7日未明に同病院近郊の新聞販売店で脅迫状の入った封筒が見つかった。脅迫状は同病院の志村早苗病院長(59歳)の氏名を特定して、朝日新聞によれば身代金6,150万円を要求すると共に、中国新聞によれば7日夜に仙台駅を出発する電車に乗って、現金を持って石巻駅に行くように指示されていた。

院長は7日の夜から8日未明にかけて身代金の受け渡し場所に向うものの、犯人は現場に現れなかった。また身代金も渡せなかった。そして朝日新聞によれば1月8日の早朝5時半過ぎ、病院に「国立病院の裏側の廃墟で赤ちゃんを解放した」旨の電話連絡があり、それを受けて捜査した結果、同病院近郊の国立病院機構仙台医療センター付近で柊羽君を無事保護した。柊羽君は連れ去られた当時と同じ産着と毛布を着用した状態で見つかった。目立った外傷はなく、また生命にも別状はない。

中国新聞によると、柊羽君は2005年12月26日に誕生したばかりで、保護後搬送された仙台市立病院では「当時体温が低かったので泣く力も弱かったが、体温が温かくなっていくにつれて力強く泣き始めるようになった。脱水症状などの異常も見られず、1-2日程度で退院の見通し」と説明している。

宮城県警は、柊羽君保護後の同日午前、身代金目的の略取容疑で根本容疑者夫妻に任意同行を求め、事情聴取すると共に、警察の捜査本部は病院や身代金を要求した公衆電話付近を走り去った自動車の不審車両のナンバープレートを洗い出し、根本容疑者らを特定した。なお根本容疑者が事件以前に病院に出入りした事実については不明である。

捜査本部の調べに対し根本容疑者は「数千万円の借金を抱えていた」と供述しており、金を目当てとした誘拐と見て容疑者自宅の家宅捜索を9日未明に行った。また根本容疑者は「金銭の受け取りは、警察官がいたので子供を返せなくなると思ったのでやめた」とも供述している。3人ともこの容疑を認めている。

毎日新聞は警察庁のまとめとして、今回の事件は1946年以降で282件目の身代金目的誘拐事件となったと報じている。

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