中国人姉妹の国外退去命令取り消し、敗訴判決確定後では初

【2009年10月10日】

朝日新聞毎日新聞によると、中国残留孤児の子孫として両親と共に来日した後で在留資格が取り消しとなり国外退去を命じられていた奈良市在住の中国人姉妹に対し、千葉景子法相は、10月9日UTC+9、以下同様)に在留特別許可を出した。毎日新聞によると、この件では最高裁で退去命令の取消請求訴訟の敗訴が既に確定しており、支援団体のコメントでは、敗訴確定後に在留を認定された例としては、埼玉県蕨市在住のフィリピン人の中学生・カルデロンのり子さん(14歳)のみで、極めて異例という。

毎日新聞によると、この姉妹は、帝塚山大学1年生の北浦加奈(中国名:焦春柳(チアオ・チュンリウ))さん(21歳)と、大阪経済法科大学1年生の陽子(中国名:焦春陽(チアオ・チュンヤン))さん(19歳)。2人は、47歳の母親が、長崎県出身の中国残留孤児(故人)の子だとして、1997年に中国・黒竜江省から正規の手続を経て来日。朝日によれば、翌年には三女も誕生、大阪で一家5人で生活していた。

ところが、2002年になって、大阪入国管理局が、「姉妹には、残留孤児との血縁関係が無いと判明した」として、一家全員が在留資格を取り消され、2003年9月国外退去を命じられた。 43歳の父親が強制収容され、一家は同年12月大阪地裁に退去処分取り消しを求める訴訟を起こし争ったが、二審で敗訴、2006年5月に最高裁が上告を退け敗訴が確定。同年6月、父親は、当時大阪府内の高校に通っていた姉妹を残し、妻と当時7歳の三女の3人と共に中国に強制送還された。

朝日新聞によると、その後も、日本での生活に慣れていた姉妹は、大阪入国管理局に毎月出頭することなどを条件に、強制送還のための収容を一時的に解く「仮放免」の状態で滞在を継続し、大学に進学。出国すれば日本に再入国できなくなるため、両親に会うことも不可能となっていた。

毎日新聞によると、大阪入国管理局や支援団体のコメントとして、在留特別許可が出ると、日本での就労が可能となり、再出入国許可を得れば中国などへの出国も認められる。

また、加奈さんは在留特別許可が出たことについて、「紙一枚ではあるが、退去命令を受けてから6年間の重みを感じる」、陽子さんは「日本に住み続けられることを、家族に早く伝えたい」と話した。

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