ワシントン条約事務局、キャビアの国際取引を禁止

【2006年1月4日】

チョウザメ(資料)

読売新聞、日本経済新聞、日刊スポーツによると、スイスジュネーヴにあるワシントン条約事務局は3日、オオチョウザメなどチョウザメ類の卵で世界三大珍味の一つとされる天然キャビアの国際取引を当面禁止すると発表した。

事務局はロシアイランアゼルバイジャンなど主要輸出国であるカスピ海沿岸諸国と、2006年分の輸出割当量の調整を行ったが、規制基準となる2004年の輸出割当総量147トンを下回るように調整していた事務局と各国の申請した輸出割当て量と間で調整が付かず、事務局は取引禁止の緊急措置に踏み切った。各国の申請した2006年の輸出割当量の総量は2005年を下回っているものの、事務局はチョウザメ類の密漁や乱獲に伴う生息数減少を正確に反映していないと批判している。日刊スポーツの伝える共同通信によると、事務局はさらに、チョウザメ類の保護計画を各国間で策定すべきだと指摘しているという。

ロイターによれば、闇市場におけるキャビアの取引が毎年数100トンあり、これが合法的な市場にも匹敵する量であると、指摘されている。自然保護団体は、1970年代後半以来、チョウザメのカスピ海における生息数が、乱獲のためおよそ90%も落ちていると見積もっている。

今回の禁輸措置は期限などを定めていない。読売新聞は禁輸処置がキャビアの価格高騰につながる恐れもあるとしている。読売新聞によると、2001年にも密漁によるチョウザメ類の減少によって一時的な禁輸措置を行ったが、結果として国際的な価格高騰を招いただけで、密漁の抑制にはつながらなかった経緯がある。

ロイターによればキャビアを扱う主要な会社のひとつであるペトロシアン社のアーマン・ペトロシアン社長は、輸出割当量の保留が「漁も取り引きもない」時期に来たと語った。漁のシーズンは2月下旬に始まるが、大量に消費されるのはクリスマスシーズンであり、まだ時間的な余裕がある。

また、ペトロシアン社長は「非合法な市場が増加していることが本当の問題だ」と語った。

なお、日本経済新聞によると、今回の措置で禁輸となるものは天然キャビアで、養殖物は対象外となる。

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