ロバーツ氏、米連邦最高裁長官に就任

【2005年10月1日】

ジョン・ロバーツ米連邦最高裁長官

29日、アメリカ合衆国で、ジョン・G・ロバーツ・ジュニア氏が17代目の米連邦最高裁判所長官に就任した。先に行われた米上院での聴聞会では、賛成78、反対22で就任が承認された。就任宣誓はジョン・ポール・スティーヴンス判事が司会した。スティーヴンス判事は、前代のウィリアム・レンクィスト長官が9月3日在職中に死去して後、長官代行を務めていた。

日本経済新聞などによれば、ロバーツ新長官は、米連邦最高裁判所判事として指名され、9月6日から上院での審議を行う予定だったが、レンクィスト前長官の死去を受け、5日ブッシュ大統領が、ロバーツ氏を後任の長官に指名した。最高裁判事を経ずに長官に就任するのは異例の人事である。日経では、野党の民主党にも一定の支持を得ているロバーツ氏の指名が、人事の空白期間を埋めるのに有利との判断があったと観測している。

ジョージ・W・ブッシュ米大統領は「鋭敏な精神と寛大な心の持ち主を上院は承認した。米国民はみな新長官が司法上の権力を用いるのに慎重であり、司法の独立を堅く守り、そしてなによりも憲法の忠実な番人であることを確信できるだろう」と語った。

ロバーツ新長官は、上院の聴聞会で、共和党議員すべてと民主党議員半分の支持を得た。

米フロントラインニュースによれば、連邦最高裁長官は、本人が辞任しない限り死ぬまで身分が保障されている。50歳の長官の就任で、今後長期にわたって長官の職にあることが予想される。妊娠中絶の権利を認めた1973年の最高裁判決に反対する弁論趣意書に署名したことがあることなどから保守派と目されており、クリスチャン・トゥデイによれば、キリスト教団体は新長官を歓迎している。一方、民主党議員の半分の反対票は、このことへの懸念と見られる。これに対し、ロバーツ新長官は宣誓式で「すべての世代が合衆国憲法を支持し、擁護する責務を受け入れなければならない」と述べ、「裁判は政治とは違う」と、司法の独立を強調した。

連邦最高裁人事をめぐる次の焦点は、サンドラ・オコナー前判事の後任指名である。この地位は、当初ロバーツ新長官が指名されたものだった。専門家の多くは、オコナー前判事の後任となる新判事指名が、ロバーツ新長官の指名と審議に比べて論議の多いものになるだろうと予測している。オコナー判事の判断は、女性の権利、アファーマティブ・アクション(少数民族優遇措置)、妊娠中絶をめぐる裁判で、しばしば評決を左右するものとなっていた。

英語版ウィキニュースからの翻訳を含みます。

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