リトビネンコ氏死亡捜査にインターポールが参加

【2006年12月14日】

12月13日BBCによると、インターポールが先月ロンドンで亡くなったロシアの元情報機関職員、アレクサンデル・リトビネンコ氏の死因についての捜査をはじめた。インターポール・ロシア事務所の、ティムール・ラコーニン警部がBBCに対して明らかにした。ラコーニン警部によると、イギリス、ドイツ、ロシアの各捜査当局が、相互に情報を交換しつつ、それぞれ捜査を行っている。

リトビネンコ氏は11月23日に亡命先のロンドンで亡くなり、死因は放射性物質ポロニウム210と発表された。このため毒殺の疑いがもたれている。BBCなどによると、同氏は、2006年11月1日午前にロンドンのホテルでロシア人ビジネスマンのドミトリ・コフトゥン氏と会い、その後体調を崩し入院した。コフトゥン氏は放射能物質をドイツ国内に違法に持ち込んだ容疑で、ドイツで捜査の対象となっている。

また7日のBBCニュースによると、葬儀はロンドン北部のハイゲート墓地で7日行われた。葬儀は故人の妻の希望で無宗教で行われた。家族や亡命ロシア人の友人など約50人が参列した。故人の友人であるチェチェン分離運動の活動家など、ムスリム系亡命ロシア人の参列者もあった。リトビネンコ氏の父親は、息子が生前イスラム教式の葬儀を希望していたと語ったが、故人の友人はその希望には大きな留保がついていたと話している。また、ロンドンのモスクの代表者であるガヤーシッディン・シッディークィ氏は、遺体をモスクに安置することはできないと語った。遺体が放射能汚染されている懸念は他の関係者からも以前に表明されていた。

BBCによると、リトビネンコ氏の妻マリナさん(44)は、イギリスの各新聞紙のインタビューに応じ、夫の死がロシアの国家レベルでの陰謀である可能性を訴えている。10日のBBCによると、イギリスの日曜紙『メール・オン・サンデー』でのインタビューで、「プーチンでないことは明らかです。でもプーチンが周りの人に対してすることが、イギリス人を殺すことは十分ありえます」とマリナさんは語った。

7日のBBCによると、コフトン氏もまた放射能被害のために健康を害し、モスクワの病院に入院中という。しかし病状について証言は、重篤であるとするものから快方に向かっているとするものまでさまざまである。13日のイタル=タス通信によると、コフトゥン氏は、シュピーゲルTVの電話インタビューにモスクワの病院から応じ、「どういう経緯でハンブルクに放射能物質を残したのか、私にはわからない」と語った。このインタビューで、コフトゥン氏は「リトビネンコとは10月の16日、17日、18日に会った」と語った。朝日新聞が報じた14日付けロシア紙ガゼータのインタビューでは、コフトゥン氏は逆に「すでに被爆したリトビネンコから放射性物質を移された」可能性を主張している。イタル=タス通信によると、コフトゥン氏は「放射能物質は長期にわたって追跡可能だ。それに世界中を旅行すればいろいろなところにいろいろなものを残してくるものだ」と語っている。一方、放射性物質のドイツ入国時の所持、および放射性物質をハンブルクからロンドンに持ち込んだ可能性を認め、騒動を引き起こしたことについてドイツの公衆に対する遺憾の意を表明した。自身の病状については、好転しているといい、今週中にも退院できると希望している。


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