マンション管理費、非居住者への負担金は「有効」 - 最高裁が初判断

【2010年1月27日】

毎日新聞朝日新聞によると、マンションの管理組合が、部屋を持ちながら居住していない所有者のみに対し月2,500円の協力金支払いを求めることができるかが争われた訴訟上告審判決で、最高裁第三小法廷堀籠幸男裁判長)は1月26日UTC+9、以下同様)、「管理組合の運営を巡り、不在所有者に対し一定の負担を求め居住所有者との不公平を是正しようとしたことについては、必要性と合理性がある」と判断し、協力金は適法と認める判決を言い渡した。これにより、不在所有者側の敗訴が確定した。

毎日新聞によると、問題となったのは、1971年から分譲された大阪市北区のマンション・『中津リバーサイドコーポ』(全4棟、全14階建)。総戸数868戸のうち約180戸は、第三者に貸されたり空き室になったりしていて、所有者が実際には居住していないという。朝日新聞によれば、居住所有者から不満が続出するようになり、同マンションの管理組合は、2004年3月の総会で、不在所有者のみから「協力金」を徴収することを決めた。これに対し、第三者に部屋を貸している一部の不在所有者が拒否したため、組合側が支払いを求め大阪地裁に提訴した。

朝日新聞によると、このマンションの管理組合費は月額1万7,500円(一般管理費8,500円、修繕積立金9,000円)で、訴訟ではこれに月額2,500円を上乗せできるかが争われた。

朝日新聞によると、第三小法廷は、「居住所有者のみが組合の役員となってマンションの保守管理に努め、不在所有者はその利益のみを享受していた」と指摘。その上で、「管理組合の業務や費用は、本来、組合員が平等に負担すべき」と言及し、金銭的負担で不公平の是正を図ることは合理的と認定。その上で、上乗せ金額が管理組合費の15% とさほど高額でないことや、大半の不在所有者が支払いに同意していることなどを考慮し、「不在所有者が我慢すべき限度を超えているとは言えない」と結論付け、支払いを行っていない不在所有者側に未払い分を納めるよう命じた。

毎日新聞によると、この問題では、計3件の訴訟が不在所有者側と管理組合双方から起こされ、二審大阪高裁判決は、うち1件について「月1,000円の限度で協力金は有効」と認めたものの、残り2件では「協力金を求める規約改正は無効」としており、判断が分かれていた。

朝日新聞によると、『日本マンション管理士会連合会』のコメントでは、築年数が古い建物ほど所有者の高齢化が進み、賃貸に出す所有者も増加し、これらの影響により管理組合の役員の担い手が不足する傾向が、主に大都市で見られるという。一方で、大半の入居者は管理費を安く抑えたいため、管理組合の運営資金は不足がちであり、同連合会は、今回の判決を契機に、今後、不在所有者から協力金の徴収を開始する管理組合が急増する可能性があると見ている。 また、各地のマンションの役員経験者らで組織するNPO法人・『全国マンション管理組合連合会』によれば、協力金を徴収しているのは、100戸以上の大規模な建物が多いとされる。

朝日新聞によると、同連合会の谷垣千秋事務局長は、「画期的な判決。協力金には、貸す所有者が増えることで管理組合が空洞化するのを防ぐ目的と、役員をやらずに済むことへのペナルティーを科す意味がある」とコメントしている。

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