ホメオパシー療法、「科学的根拠無し」- 日本学術会議が会長談話

【2010年8月25日】

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朝日新聞毎日新聞によると、通常の医療とは異なる民間療法・「ホメオパシー」について、日本学術会議(会長:金沢一郎東京大学名誉教授)は8月24日UTC+9)に、「科学的根拠は明確に否定され、荒唐無稽」とし、医療従事者が治療で使用しないよう求める会長談話を発表した。

毎日新聞によると、2009年10月山口県で、助産師からビタミンK2の代わりにホメオパシー療法の特殊な錠剤を投与された乳児が、ビタミンK欠乏性出血症で死亡した事故山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故)を受けたものとしており、また、朝日新聞によれば、通常医療から患者を遠ざける懸念があるとして、一般に広まる前に医療現場から排除する必要があると判断したもの。科学者の代表機関が、特定の療法を否定するのは極めて異例のこととなる。

朝日新聞によると、日本医師会日本歯科医師会日本獣医師会など6つの医療関連団体も談話に賛同しており、会員に周知する方針である。厚生労働省は、普及団体について、医師法薬事法などの観点から注目し、情報収集を開始した。

毎日新聞によると、ホメオパシー療法は、18世紀末にドイツで始まった。病気と似た症状を起こす植物鉱物を何度もで薄めて攪拌し、この水を砂糖玉にしみ込ませた錠剤(レメディー)を服用して自然治癒力を引き出し、病気を治療するというもので、元の物質は水にはほとんど残っていないが、実践する人たちは「水が記憶している」と主張している。インドで盛んだが、最近は効果を巡り議論が起きているという。日本でも、ごく一部の医療関係者が、うつ病などの患者に対しレメディーを投与している例がある。

毎日新聞によると、日本学術会議は、日本政府に対し科学振興策などを勧告できる、日本の科学者の代表機関。記者会見した金沢会長は、日本国内で死者が出た事態を重視し、「ホメオパシーに頼り過ぎると、有効な治療法を受ける機会を逸する」と指摘。欧米のように普及する前に、医療分野で広がらない手立てが必要と主張した。唐木英明・同会議副会長も、「ただの水なので、効果は無い」と訴えた。

朝日新聞によると、今回の談話の根拠として、2005年イギリスの医学誌・『ランセット』で発表された、「治療上の効果は無い」とする論文などを重視。「物質が存在していた記憶を水が持っている」といった主張も荒唐無稽だと指摘。英国イギリス議会下院科学技術委員会が出した「科学的根拠が無い」とする勧告や、英国医学会が出した「ホメオパシーは魔術」という宣言も参考にした。

朝日新聞によると、ホメオパシー療法は、日本国内では主に1990年代後半から、日本ホメオパシー医学協会など複数の団体が実践し、普及を進めている。同協会は、この療法を指導・指示するホメオパシー療法家の養成学校を、北海道から沖縄まで日本全国7カ所に設置。利用者数など詳しい実態は不明だが、食品添加物農薬など化学物質を避けようという「自然派」志向の女性らの間で広がっている。また、雑誌などで「効果」をPRする著名なタレント歌手俳優も存在するという。治療に導入している大学病院もある。また、同医学協会は、計20以上の診療所歯科医院動物病院と提携しているという。

朝日新聞によると、今回の会長談話について、日本ホメオパシー医学協会は、「ホメオパシーの治癒効果は、世界中で広く認定されている。きちんと調査することも無く「荒唐無稽」と断定する極めて非科学的な態度に呆れている。世界的にも普及しており、日本学術会議の見解や認識は、世界の情勢と著しく乖離している」などと反論するコメントを寄せた。

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