フランス南部の原発で放射能漏れ、作業員など100人が被曝
【2008年7月26日】
フランス電力公社(EDF)が2008年7月23日、フランス南部のドローム県にあるトリカスタン原子力発電所において放射能(放射性物質)が漏れる事故(原子力事故)が発生し、保守作業に従事していた作業員およびEDF社員約100人が被曝したことを発表したという。 [1] [2] [3] 毎日新聞、AP通信、CNN、共同通信が伝えた。
事故は7月23日朝に発生。毎日新聞によると、トリカスタン原発のアラン・ペクル所長が説明したところでは、保守作業のため停止していた第4号原子炉の建物内部の配管に亀裂が入り、そこから放射性物質が漏れたため、建物内にいた人は避難し健康診断を受けたという。[1] 毎日新聞、CNNによると、EDF広報が、配管から漏れた放射性物質を作業員が浴びたがその被曝線量は許容限度をはるかに下回り、法が定める年間制限値の40分の1程度であったと説明したという。[1][2] 共同通信によると、フランス公共ラジオの伝えるところでは、同原発の広報担当者が、被曝が軽度であり健康や環境への被害はないとしているという。また、フランス原子力安全庁がEDFからの報告に基づいて、今回の事故を、原子力トラブル・事故の評価尺度の0から7まであるレベルのうち、最も軽いレベル0であると暫定的に評価したという。[3]
毎日新聞によると、ユーロニューズの伝えるところでは、フランスでの原子力事故は過去2週間内で4度目であるという。7月7日に、同じトリカスタンの核廃棄物処理施設でウラン廃液が流出し、7月18日にはロマンシュルイゼールの核燃料工場でも核廃棄物漏出事故が起きていた。[1] AFP通信、CNNによると、7月11日にトリカスタンの別の施設でウラン溶液の流出事故が起き、原発の幹部が健康や環境への被害はないと発表したが、周辺の2つの川でウォータースポーツと釣りが一時禁止された。今回はそれが解除された矢先の事故であるという。[2] 共同通信によると、事故の連続発生を受けたフランス政府が、18日にフランス国内の核関連施設すべてで、周辺への放射性物質の漏出の有無を確認するため地下水を調査する方針を示していたという。[4]
なお、同原発での11日に発生した事故に関連して、APF通信によると、コトー・デュ・トリカスタンという名前のワインの名称変更が検討されているという。フランスの南部アヴィニョン(アビニョン)が産地であり、トリカスタン原発が約50kmと近いことから、消費者が事故を連想することを危惧したためである。2009年の収穫期までに変更される予定で、変更後の名称の候補として、地元の村の名「グリニャン」が挙がっているという。[5]
出典
編集- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 毎日jp(ブリュッセル福島良典) 『仏原発:放射性物資漏れ従業員ら100人被ばく - 毎日jp(毎日新聞)』 — 毎日新聞, 2008年7月24日20時30分(UTC+9)
- ↑ 2.0 2.1 2.2 AP通信 『仏原発で放射能漏れ、100人が被曝』 — CNN, 2008年7月24日19時10分(UTC+9)
- ↑ 3.0 3.1 47NEWS 『仏原発で100人被ばく 保守中、「健康被害ない」』 — 共同通信, 2008年7月24日9時57分(UTC+9)
- ↑ 47NEWS 『廃棄物の漏出相次ぐ 仏政府、全施設調査へ』 — 共同通信, 2008年7月18日22時47分(UTC+9)
- ↑ AFPBB News 『原発と同名のフランスワイン、名称変更を検討 国際ニュース』 — AFP, 2008年07月24日16時35分(発信地:フランス・リヨン)