フィリピン・レイテ島で大規模な地滑り

【2006年2月17日】

フィリピン全図
赤い丸がセントバーナード

フィリピン中西部・レイテ島南レイテ州の山間部で17日午前(UTC+8,日本時間より1時間遅れ)、大規模な地滑りが発生した。フィリピン赤十字社は今のところ、死者300人・行方不明者1,500人を超えている模様だとしている。死者は最悪の場合3000人以上に達するとの見方もある。

読売新聞によれば、地滑りが起きたのは南レイテ州セントバーナードのキンサウゴン地区とその周辺で、フィリピン軍は現場にヘリコプター2機と艦船2隻を向かわせて被害状況を調査している。また、同国軍と合同演習中だったアメリカ軍も艦船2隻と兵士6,000人の派遣を決定したという。

CNNによると、現場となった集落には約1900人が住んでおり、ほとんどの家屋と、児童約250人がいた授業中の学校などが土砂に埋まったという。地滑りの被害を受けなかったのはわずか3軒だった。同州のレリアス知事は、「現場付近では2週間ほど雨が降り続いていた」と話している。

読売新聞や毎日新聞によると、17日には土砂の中から53人が救出された。翌18日にはフィリピン政府などによる救助活動が本格的に始まったものの、現地では激しい雨が降り続いていて、深さ10メートルを超える土砂のさらなる崩壊などの二次災害の恐れがあり、ぬかるみでは重機が使えず手作業に頼っていて、救助は難航している。また救助にあたっている軍幹部は、現場周辺の詳細な地図が無く生存者などからの聞き込みを頼りに掘り返している状況だと語った。現地の災害対策本部によると109人が遺体で運び出された。また地元下院議員は、現場周辺で長く行われている森林の過度な伐採が、被害を大きくした可能性があるとしている。

毎日新聞や朝日新聞によると同知事は「集落が丸ごと被害に遭い、1,400人~2,000人が土砂に埋まった」と話し、現場に向かったという。また、地元国会議員の情報では死者は2,000人に達する見込み。同国内では最近1週間だけで、洪水などにより16人が死亡していたという。一方、国際連合は5万ドルの支援を発表し、国連人道問題調整官室(OCHA)から被害調査チームを派遣した。国際赤十字社は、18日朝には医療品や遺体収容用の袋など1000人分をレイテ島北部のタクロバン空港を介して現地に輸送した。オーストラリア政府は74万ドルの緊急支援、アメリカ政府は5万ドルの基金拠出を表明している。

朝日新聞によると、タクロバン空港には国際救助チームがいくつも到着し、多くの救援物資なども運ばれてきている。また現場となった集落の人口は約3000人で、1000人ほどはすでに避難しているとの情報もある。

また共同通信によると17日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、試験運用中の日本の陸域観測技術衛星「だいち」を地滑り現場の観測に役立てることを決定した。運用試験が無い時間帯を使って観測する予定。

またブルームバーグによると、現在ラニーニャ現象の発生により(現場付近の)雨量が平年の3~4倍に増加していて、この雨量の増加状態は今年前半いっぱい続く見通しだという。

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