ヒッグス粒子、「発見の兆候」 - 欧州の研究機関

【2011年12月14日】

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読売新聞によると、世界的な素粒子物理研究機関である欧州合同原子核研究機関(CERN)は12月13日UTC+1)に、宇宙物質を構成する素粒子に対し質量を与えるとされる「ヒッグス粒子」を、99.98%の確率で発見したと発表した。

読売新聞によると、ヒッグス粒子は、宇宙の成立ちを説明する素粒子物理学の標準理論に不可欠な存在で、世界の物理学者がこれまで40年以上に亘り探索してきた。最終的な結論は、2012年以降にさらにデータを収集した上で下すとしている。朝日新聞によれば、素粒子物理学レベルで「発見」と断定できる信頼度ではないものの、「存在の兆候」を掴んだ形となった。

読売新聞によると、研究結果を発表したのは、東京大学高エネルギー加速器研究機構など日本の15機関も参加する「ATLAS」と、を中心に構成する「CMS」の両実験グループ。両グループは、2010年から本格稼働したCERNの「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」を用い、原子核を構成する「陽子」と称される粒子を光速近くまで加速。そして、2つの陽子を正面衝突させ、中から飛び出す様々な種類の粒子からヒッグス粒子の痕跡を探していた。

読売新聞がATLASグループの話として伝えたところによると、10月末までに得られたデータを分析した結果、素粒子の質量を示すGeV(10億電子ボルト)で、126GeV(陽子約130個分)前後の質量を持つ、未知の粒子と考えられるデータが含まれていることが判明した。今回は、物理的な重要性を考慮し敢えて厳しく見積もることも試み、その結果は98.9%であった。ヒッグス粒子の存在が「確認された」と断定するためには、99.9999%の確率に到達する必要があるとしている。また、CMSグループも、ヒッグス粒子発見をうかがわせる結果を得たと発表した。

朝日新聞によると、ヒッグス粒子の探索は、2008年から観測を開始したLHCの第一目標として設定されている。陽子と陽子とを衝突させてヒッグス粒子が生じるのは、1兆回に1回ほどに過ぎず、しかも、できてもすぐに消失するため、衝突で生じるや粒子を観測することにより、ヒッグス粒子の痕跡を探索している。

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