パキスタン総選挙、2月18日に延期 テロの影響

【2008年1月3日】 ロイター通信によると、1月8日に開催される予定だったパキスタン総選挙が2月18日に延期されることを同国の選挙管理委員会が1月2日発表した。これは2007年12月に起きたブット元首相暗殺事件の影響で、国内情勢が不安定になっていることを受けたという。また中日新聞と日経新聞によると、選挙管理委員会の事務所や、選挙に必要な投票用紙が焼かれる被害があったことから、1月8日に予定通り選挙を行うことが困難として延期を決めた模様である。特にブット氏の地盤とされる南部・シンド州に至っては11箇所の選挙管理委員会事務所で壊滅的被害があったと報じている。

中日によると、ムシャラフ大統領は1月2日、パキスタン国民に向けた演説で「選挙の延期は不可避」とし、またブット氏の暗殺事件について「テロリストが仕掛けた仕業」として、事件の解明に向けてイギリス警察にも協力を求めるという。

また、ブット氏が所属していたパキスタン人民党と、シャリフ元首相が率いるパキスタンイスラム教徒連盟・シャリフ派はこの決定に強く反発し、野党支持者による抗議集会の激化も懸念されている。また人民党はブット氏暗殺後40日間の服喪に入ることを一旦決めていたが、その後事件の記憶が生々しいうちに選挙を行う方が有利として選挙に参加する方針にしていた。ブット氏の夫・サルダリ氏はロイター通信のインタビューで「選挙を延期したとしても治安の安定は保障できない」と指摘。シャリフ氏も「与党に対する有利な時間を与えるだけ」として予定通り開催するよう要求していた。

その一方で最大与党のパキスタンイスラム教徒連盟・クァイディアザム派のフサイン総裁は1月1日、今回の決定に従うことを表明した。

選挙管理委員会によると、今回の日程延期はイスラム暦の1月に当たる「ムハラム月」が1月10日から2月8日に当たり、その間にはイスラム教シーア派の集会「アシュラ」があることから、シーア派とスンニ派による抗争の激化が懸念されていることも配慮されているといわれている。

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