ハリケーン・カトリーナ、米国に大きな被害
【2005年9月1日】
アメリカ合衆国東南部を8月末におそったハリケーン「カトリーナ」の被害は日増しに広がり、深刻さを増している。ブッシュ米大統領は8月31日に閣僚会議を開いて、対応策をまとめ、「米国史上最悪の天災の一つ」と記者団に語った。
原油精製設備への被害を嫌気して高騰していた原油価格は、大統領の対応策に含まれた戦略備蓄石油の放出決定を受けて落ち着いたものの、ガソリン価格は上昇を続けている。
31日までの段階で、すでにハリケーンによる確認された死者の数は100人を越えているが、レイ・ネーギン ニューオーリンズ市長は、死者数が数千人に上るかもしれないとの見通しを語った。
またBBCの報道では、各保険会社では、被害総額を90億米ドルとも250億米ドルとも試算している。
英語版ウィキニュースや同ウィキペディアによれば、「カトリーナ」は、8月20日にバハマ南東で熱帯低気圧として発生した。その後発達し、25日にハリケーンとなりフロリダ半島に上陸、少なくとも7名が死亡し、5人が行方不明になった。「カトリーナ」は、フロリダからメキシコ湾上を北西に進み、29日ルイジアナ州に再上陸した。
ルイジアナではニューオーリンズなどで、事前に避難命令が出され、公立学校が避難場所に指定されたほか、負傷者や避難が遅れた人のためにスーパードームが避難場所として開放された。避難者は食料を持参するよう指示された。
31日の英語版ウィキニュースによれば、現在、ニューオーリンズ市域の8割は水没しており、水道や電気などの公共サービスは機能していない。専門家は衛生状態の悪化について懸念を示している。
この状況をかんがみ、ニューオーリンズに対して、31日、非常事態宣言が出された。市内にいる避難者や病人も移動する。病院の患者の移送先は発表されていない。またスーパードームの避難者はテキサス州ヒューストンのアストロドームに移動するとしている。
「カトリーナ」はルイジアナ州上陸後、さらに北上を続け、30日にミシシッピ州の東部を通過中に勢力を落とし、熱帯性暴風になった。31日深夜(米加東部標準時夏時間、UTC-4)には、カナダ南東部に達し、前線の一部となった。
ニューオーリンズの基礎データ
- 位置:アメリカ合衆国ルイジアナ州
- 面積:総面積907.0 km² (350.2 mi²)
- 人口:人口484,674人(2000年)ルイジアナ州最大の都市
- 地形:メキシコ湾に面し、市域の約半分が水域
出典
- 『米ハリケーン被害、死者「数千人」 復旧、数年の見通し』 — 朝日新聞社, 2005年9月1日
- 『ハリケーン影響、ガソリン価格が急騰 原油は下落』 — 朝日新聞社, 2005年9月1日
- 『ハリケーン死者、数千人の可能性…米史上最大級の惨事』 — 讀賣新聞社, 2005年9月1日
- "Hurricane Katrina strikes Florida, kills seven"。English Wikinews、2005年8月26日。
- "Mandatory evacuation declared in New Orleans, US"。English Wikinews、2005年8月28日。
- "Total evacuation of New Orleans planned"。English Wikinews、2005年8月31日。
- "'Dozens killed' in US hurricane"。BBC、2005年8月30日。
- "Katrina damage 'could top $25bn'"。BBC、2005年8月31日。