ハッブル宇宙望遠鏡、2013年まで延命

【2006年11月1日】

スペースシャトルディスカバリーから見たハッブル宇宙望遠鏡。(NASA)
1997年の第2次補修作業(STS-82)中、船外活動の様子。(NASA)

アメリカ航空宇宙局(NASA)は10月31日(UTC-5)、アメリカ合衆国メリーランド州のゴダード宇宙飛行センターで記者会見を行い、ハッブル宇宙望遠鏡の補修を行うことを発表した。読売新聞によれば、補修は2008年半ばに打ち上げられるスペースシャトルを用いて行われる。

NASAによれば、ハッブル望遠鏡は地球を周回する宇宙空間の軌道上にある天体望遠鏡で、地球の大気のゆらぎやちりの影響を受けないため高精度の観測が可能な望遠鏡である。太陽系外の惑星の初めての発見、宇宙の膨張速度が加速しているという観測結果、ブラックホールの実在を裏付ける観測結果の取得などこれまでに数々の成果を挙げてきた。

Astronomyによればハッブル望遠鏡は当初からスペースシャトルによる定期的な補修作業を想定して設計されており、補修なしでは地球の希薄大気との摩擦で徐々に高度を失い地球に落下する。スペースシャトルコロンビアの事故以後、有人ミッションは危険であるとしてNASAは望遠鏡の補修作業を行わないとしていたが、Space.comによれば、NASAのマイケル・グリフィン長官は作業の危険度が他に行われているミッションの危険度を上回らなければ補修作業の実施を支持すると以前から表明していた。

読売新聞によれば、現状では望遠鏡の観測寿命は2008年末まで。2010年には高度を失い大気圏に落下し炎上すると見込まれていた。今回発表された補修では老朽機器の交換と新たな観測装置の取り付けを行う。これにより望遠鏡の寿命は2013年まで延長される。Space.comによれば、作業は4、5回の船外活動により行われる。

ハッブル望遠鏡の後継としては2013年に打ち上げ予定のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が計画されているが、これは赤外線による観測に特化した望遠鏡であり、ハッブルのように可視光紫外線を用いた観測には使えない。

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