ナイジェリア、亡命者引渡し法案を審議―テイラー前リベリア大統領の処遇に影響も
【2005年9月2日】
ナイジェリア議会は、ナイジェリアでいったん亡命資格を認められた者を、ナイジェリア上院が、戦争犯罪の裁判を理由として、他の国や、国際連合(国連)、アフリカ連合といった国際機関に引き渡すことを可能にする法案を審議中である。この法案では、ナイジェリア上院は、亡命資格の適用を認可する権限や、次いで亡命中の人物を請求のあった国や機関に送還する権限を得るとしている。
法案が可決されれば、ナイジェリアは、合法的にチャールズ・テーラー前リベリア大統領をシエラレオネ特別法廷に戦争犯罪人として引き渡すことができるようになる。シエラレオネ特別法廷は、2000年8月の国連安保理事会決議に基づき、シエラレオネ内戦介入などの戦争犯罪を、国際人道法およびシエラレオネ国内法に基づき審理するために設置された。現在まで、ナイジェリアは、シエラレオネ、アメリカ合衆国、国連に対して、テイラー前大統領の引渡しは、民主的な方法で選出されたリベリア政府に対してのみ行うと繰り返し主張してきた。テイラー政権崩壊後、最初の国政レベルの選挙は今年10月に予定されている。
法案は、リベリアにとっても重大な意義をもっている。2003年、当時リベリア大統領だったテイラー前大統領は、隣国シエラレオネの反政府組織を援助し内戦に介入したとして、戦争犯罪人としてシエラレオネ特別法廷で起訴され、国際社会から追放された。起訴の翌日、国外に逃亡し、ナイジェリア政府との交渉の上ナイジェリアに亡命した。それ以後、現在まで、リベリアでは国連の平和維持活動が行われている。10月に、リベリアではテイラー政権崩壊後はじめての国政選挙が行われる。テイラー前大統領が亡命中であるにもかかわらず、前大統領の影響力は、事態を不安定にする可能性があるとみなされている。
リベリア大統領選挙の候補者たちは、最近、ラジオでの連続討論会を行った。その席上テイラー前大統領の問題も話題となった。ほとんどの候補者は法が遵守されるべきであると認めたが、当選した場合にテイラー前大統領を特別法廷に引き渡すことについて、触れた者はなかった。
英語版ウィキニュースからの翻訳に基づきます。
出典
- Habeeb I. Pindiga "Senate Seeks Powers to Extradite Taylor". Daily Trust (Abuja), August 31, 2005
- UN Integrated Regional Information Networks "Liberia: Presidential Candidates Divided Over What to Do About Charles Taylor". UN Integrated Regional Information Networks, August 29, 2005
- James West "Taylor's Extradition is Complicated, Say Presidential Candidates". Liberian Observer (Monrovia), August 22, 2005
- 『「第2回アフリカ開発会議(TICAD II)」-フォローアップの現状(例)-』 — 外務省, 平成14年8月
- UN News "Sierra Leone: prosecutor of UN-backed court disappointed Taylor evades arrest"。United Nations、2003年6月5日。