タイ南部で武装勢力が仏教寺院を襲撃、3人が死亡

【2005年10月17日】

タイ王国の位置
パッターニー県の位置

タイ王国南部のパッターニー県で16日、仏教寺院が襲撃され、僧侶1人を含む3人が死亡した。パッターニー県は、マレー系住民による分離独立運動があり、2004年から武力衝突がしばしば起こっているタイ深南部のひとつ。

襲撃は、日曜日の早朝10人ほどの武装勢力により15分にわたって行われた。76歳の仏教僧ケーオ・ベンチャペットケーオさんは喉を割いて殺された。襲撃のあと、武装勢力はガソリンを使い、寺院の一部に放火した。火災現場から、警察の捜査によりさらに十代の少年2人の遺体が発見された。二人は寺院の手伝いを務めていた。二人の死因は銃撃によるものだった。

襲撃を隠すため、犯人グループは、襲撃の前に花火を使った。このため村人や警察の注意がそちらにひきつけられた。この地方ではたびたびイスラム武装勢力による襲撃がおきているが、今回の襲撃犯の背後関係は不明である。

深南部の一部では、イスラム武装勢力の襲撃を恐れて、タイ族を中心とする仏教徒が他の地方へ逃げ出していると報道されている。逃げ出した仏教徒住民の数は約3万4,000人と見積もられている。またイスラム系住民の間でも、マレーシアへ逃亡を図るものがいるとも報道されている。

先月、非常事態宣言が出された。また今月上旬、タクシン・チナワット首相は治安維持のため、南部に治安部隊1000人を増強した。現在南部にはほぼ3万人近い規模の治安部隊が展開している。

非常事態宣言はさまざまな反響を呼びおこした。この地方では少数派である仏教徒からは歓迎されている。非常事態宣言のため、2004年1月からの戒厳令に加え、首相にはさらに権限が追加さえた。

タクシン首相が2004年に就任して以来、深南部三県ではたびたび衝突が起きている。2004年1月に戒厳令が敷かれて以来、武装勢力の襲撃による死者は1,000人に達している。

英語版ウィキニュースの翻訳に基づきます。

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