スーダン政府と反政府最大勢力が和平協定に調印

【2006年5月6日】

ダルフール地方

ナイジェリアアブジャで現地時間5月5日(UTC+1)、スーダン政府とスーダン解放軍(SLM)多数派が和平協定に調印した。同国ダルフール地方で続くダルフール紛争の解決へ向けての大きな前進と見られているが、反政府勢力のうち、「正義と平等運動」 (JEM) とスーダン解放軍少数派の2派は和平協定に調印しなかった。

毎日新聞や朝日新聞によると、今回の和平交渉はアフリカ連合 (AU) が仲介者となり、今年4月末を期限と設定して行われた。スーダン政府は当初から和平受け入れを表明していたが、反政府勢力は応じず期限が2度延長された。反政府勢力の説得にはアフリカ連合の高官、ロバート・ゼーリックアメリカ国務副長官、ヒラリー・ベンイギリス国際開発相なども出向き、調印に至った。

和平協定の主な合意事項は、反政府勢力(ただし対象は合意したスーダン解放軍多数派のみと見られる)と政府軍の統合、難民となった住民への補償とダルフール地方への交付金付与、ダルフール地方の自治を問う住民投票実施、「ジャンジャウィード」の武装解除など。調印しなかった2派は、自治の方式や反政府勢力の政府内での職位保障について、合意事項の内容が不十分だとしている。

BBCによると、スーダン解放軍多数派のリーダーは調印式で「我々は、ダルフールの戦いが再び終わることを断言します」「我々は平和のため、真剣に進んでいくでしょう」と述べた。ゼーリック副長官は「これは困難な道すじを前進する第一歩です」「あなた方が実行する協定は、あなた方の家族のための平和への機会を作るでしょう」と述べた。

アルジャジーラによると、アメリカはこれを歓迎すると表明したうえで、調印しなかった2派に和平を促した。またスーダン政府は調印に際して、2004年4月から駐留しているアフリカ連合の平和部隊7,000人に代わる、国連部隊の受け入れを認める構えを見せた。

各紙とも調印はとても重要な一歩であると伝えているが、朝日や読売などは、調印しなかった2派が紛争を再燃させることへの懸念もあるとしている。毎日は、治安が元の状態に回復するまでには長い時間が必要だろうと伝えている。

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